長期エネルギー貯蔵(LDES)市場の展望

送電網やマイクログリッドは、電力余剰時には、貴重な風力や太陽光による電力を浪費することになります。太陽光発電は、コストの低減が進んでおり、熱帯地方に多い新興国での採用比率は高まっていますが、効率の悪化も見受けられます。

夜間の太陽光発電の停止や、数週間におよぶ風力発電の停止などをカバーするための遅延時間と、GWhをGWで割った値とほぼ同じ満充電時の放電時間の2つが、最も重要になります。しかし、この指標は変化しており、現在、6〜10時間の蓄電が主要な市場となっていますが、風力や太陽光発電の割合が増えるにつれて、より長時間の蓄電ニーズが発生します。例えば、2020年にイギリスの電力価格が高騰したのは、風力発電が数カ月間停止していたことが一因です。今後15年以内には、冬に弱まる太陽光発電のための季節的な市場のニーズが増えることで、独自の巨大な蓄電市場が形成されると思われます。大まかに言えば、遅延が長ければ長いほど、より多くの電気を蓄える必要があるため、コストが下がり、そのコストは最終的に 90%程度になると思われます。材料からシステムまで、新たなアプローチが切望されています。

市場には、多くの驚きがあります。例えば、主要候補技術の中には、1つのシステムで長期と短期の両方の蓄電が可能なものもあります。このことは、投資判断の際に考慮に入れる必要があります。継続したゼロエミッション電源は、単独でコストがかかり、資金が不足しがちですが、総合的に見れば、純粋な貯蔵ソリューションよりも低コストになる場合があります。先進的な地熱発電、海洋発電、宇宙からの太陽光発電、その他の発電など、全体的に考慮する必要があります。

もうひとつの驚きは、さらなる貯蔵市場の可能性です。私たちは、石油やガスを、何年も保管し、1~2ヶ月で排出するという戦略的な備蓄システムを持っています。電力の普及とともに、戦略的な電力備蓄を検討することは論理的であり、現実的であると言えます。

2500億米ドル規模の新興市場において、勝者となる可能性のある技術が特定されています。同時に、いくつかの貯蔵技術は、その大きな可能性にもかかわらず、資金が不足していることが明らかにされています。

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