エッジコンピューティング、2020年代におけるICT戦略の中心的存在へ
ハイブリッドおよび分散型のクラウドインフラストラクチャは、Kubernetesなどのテクノロジーにより、より管理しやすくなり、運用も迅速化しました。IoT(モノのインターネット)の台頭により、センサーやロボットなどの接続されたエフェクターが急増しています。一方で、企業内では5G無線ネットワークが登場し始めています。これらのネットワークは、低レイテンシを提供し、産業用制御システム、ロボット、自律走行車、AR/VR(拡張/仮想現実)などの新しいアプリケーションを可能にします。その結果、低レイテンシの恩恵を十分に受けるためには、アプリケーションをエンドユーザーのより近くで移行することが競争上の必要条件となっています。
エッジコンピューティングは、もう1つのトレンドである人工知能(AI)と組み合わせることで、2010年代のクラウドのように、2020年代におけるICT分野の競争において、中心的存在となるでしょう。企業がエッジコンピューティングで展開したいと考えるアプリケーションは、2010年代に見られたAIや機械学習(ML)技術の目覚ましい進歩の恩恵を受けたものです。その代表的な例として、マシンビジョン、ロボティクス、時系列データ分析などが挙げられます。クラウドで実証されたAIは、エッジコンピューティング分野にも進出しようとしています。
この新しい市場機会に熱視線を送るプレーヤー達がいます。通信サービスプロバイダー(CSP)、それをサポートするネットワークベンダー、そして新種の代替サービスプロバイダーは、ワイヤレスの専門知識によってエッジコンピューティングを所有できるようになると期待しています。半導体メーカーやサーバーOEMは、既存のサーバー製品に新たなビジネスの大いなる可能性を見出しています。ハイパースケールクラウドプロバイダーは、集中型データセンターとマネージドサービスを基盤としたビジネスモデルが崩壊する可能性を想定しており、エッジコンピューティングへの挑戦をリードすることでリスクを回避したいと考えています。