NANDフラッシュ市場、COVID-19の影響によるクラウド需要の減少を補うため、新ゲーム機やChromebookの発売に期待

COVID-19の流行により、NANDフラッシュ市場は、家電やスマートフォン向けの需要が減少したものの、クラウドサービスや通信教育向けの需要の増加に加え、サプライチェーンの寸断を懸念した顧客による在庫調達の増加により、2020年上期は供給不足になったと報告されています。現在、NANDフラッシュの需要はSSDに支配されていますが、スマートフォンや家庭用電化製品関連の、eMMC、UFS、およびウエハ市場からの需要は低迷傾向にあります。

ゲーム機やChromebook向けの需要は、データセンターのNANDフラッシュ需要の低迷を補うものとして期待される

2020年第3四半期のNAND Flashの契約価格の交渉が進行中であることが示唆されています。年末に予定されている新型コンソールの発売予定は変わらず、同年第2四半期に始まったゲーム機メーカーのSSD初採用に関連した仕入れ活動は、同第3四半期にピークを迎えると予想されています。また、日本からのGIGAスクール(生徒1人1台端末)提案や欧米の入札強化により、Chromebookの需要は堅調に推移しています。

各国のロックダウンが徐々に緩和されてきたことで、パンデミックで発生した緊急受注の影響が減速し始めています。特に、2020年上期に最も需要があった企業向けSSDは、サーバーベアボーン(ケースに電源とマザーボードのみセットされた商品)の在庫調整やデータセンターの増設延期の影響を受けるため、需要の減少が予測されます。また、業務用ノートPCの需要も徐々に安定してきており、OEM・ODMバイヤーを含めた調達側は、2020年3月期の購買需要を抑制することが予想されます。一方、リテールエンドやスマートフォン向けの需要は、2019年に比べて勢いは弱いものの、2020年第2四半期が比較的低かったことを考えると、第3四半期ではリバウンドが予想されます。

2020年第3四半期の市場は需給バランスが取れているため、NANDフラッシュ価格の変動は限定的

パンデミックの影響による供給ビット数の伸びが限定的であることから、NANDフラッシュのサプライヤーは現在、安定した在庫を保有しており、市場全体としては、供給が逼迫した状態から、需給バランスのとれた状態に移行すると予想されます。そのため、主力のNANDフラッシュ製品の契約価格は、2020年第3四半期には限定的な下落(横ばいもしくは微減)が予想されます。また、価格に敏感なNANDフラッシュ市場全体については、モジュールメーカーの需要が低迷していることから、第3四半期は前四半期比で価格下落が顕著になる可能性があります。

2020年第4四半期の需要状況については、Chromebook や次世代ゲーム機関連の部品の在庫がピーク時から減少し、業務用ノートパソコンの需要もさらに弱まると予想しています。また、サーバーOEMやクラウド事業者は、在庫調整に時間を要するため、調達の勢いが戻ることはないと予測されます。スマートフォンの販売やストレージ製品の小売売上が前四半期比で回復すると予想されていますが、SSD需要の減少を補うことはできないと推測されます。そのため、20年第4四半期年には契約価格の下落が続き、NANDフラッシュ製品の種類ごとの下落幅は拡大すると考えられます。

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