商業ビルの市場規模、2027年に2兆1269億3000万米ドル到達予測

商業ビルの市場規模は、2022年の1兆8110億3000万米ドルからCAGR4.3％で成長し、2023年に1兆8897億8000万米ドルとし、さらに、2027年には2兆1269億3000万米ドルに達すると予測されています。

ロシア・ウクライナ戦争は、COVID-19パンデミックからの世界経済回復の可能性を混乱させました。この2国間の戦争は、複数の国に対する、経済制裁、商品価格の高騰、サプライチェーンの混乱につながり、商品やサービス全体にインフレを引き起こし、世界中の多くの市場に影響を与えました。

商業ビル市場には、ビル、宿泊施設、レストラン、工業用ビルなどを建設することによって事業体が得る収益が含まれます。商業用建物とは、利益を生み出す商業活動のために産業用または公共用として建設された建造物を指しますが、ビジネスに関連する目的で使用される建物で、住宅用ではありません。2022年の商業ビル市場は、アジア太平洋地域が最大となりました。

商業ビルの主な製品は、新築、修理・メンテナンス、改修、解体です。新築とは、既存の構造物に床面積が100％以上増加するような増築を行うことを指します。関係する様々な用途は所有と賃貸で、オフィス、小売、レジャー、その他で使用されています。

グリーンビルディング建設が増加していることが、今後、商業ビル市場を促進すると予想されます。グリーンビルディングとは、使用する資源を減らし、より健康的で環境に優しく、維持費のかからない構造物を実現する建築技術のことを指します。持続可能な建築手法では、構造物の全ライフサイクルが考慮されます。グリーンビルは、日々のコストを削減できるため、商業ビルで採用されており、その増加は、市場の成長を促進することになります。例えば、スイスに拠点を置く科学雑誌のオープンアクセス出版社であるMultidisciplinary Digital Publishing Instituteによると、2021年には、中国でLEED（Leadership in Energy and Environmental Design）認証を取得したプロジェクトが約2600件あり、さらに、国が都市部と農村部の高品質開発を推進する中で、2021年には中国のグリーンビルは66億平方メートルを超えました。グリーンビルディングの建設の増加が、商業ビル市場を牽引しています。

技術の進歩は、商業ビル市場で人気を博している主要なトレンドです。商業ビル市場で事業を展開する主要企業は、自社のポジションを強化するために、新しい技術ソリューションの開発に注力しています。例えば、2020年10月、カナダを拠点とする自律型ビル技術企業であるBrainBox AIは、英国およびアイルランドの商業不動産市場において、画期的なAI搭載ソリューションを発表しました。BrainBox AIは現在、両国の間にある合計100万平方フィート以上の商業施設10棟にその技術を導入しています。BrainBox AIの技術は、人工知能（AI）を活用して建物の熱負荷を推定し、建物のHVAC（暖房、換気、空調）システムをリアルタイムで独立運転することを可能にします。その結果、カーボンフットプリントが20～40％減少し、3カ月未満で達成可能なエネルギー費用全体の25％削減、居住者の快適性が60％向上することが期待されています。また、ビル管理者は、HVACシステムの運用・保守費用の50％削減が予測されます。