炭素繊維の市場規模、2028年に45億1000万米ドル到達予想

炭素繊維の市場規模は、2022年の27億2000万米ドルからCAGR 8.8%で成長し、2028年には45億1000万米ドルに達すると予想されています。炭素繊維は、高強度、軽量、高剛性、導電性などの特徴を持つため、最も耐食性、耐熱性の高い材料の一つです。航空宇宙・防衛、自動車、風力エネルギー産業などでの軽量化需要の高まりや、二酸化炭素排出量削減の取り組みにより、同市場は拡大しています。また、コンクリート、鉄骨、木材、石積みなどは、一般的に炭素繊維で強化・補強されるため、建築・建設産業が拡大している新興国でも市場の成長が後押しされています。さらに、家電業界では、製品の軽量化、薄型化、質感の向上を目的に炭素繊維複合材料の利用が拡大しています。

牽引要因:スポーツ&フィットネス産業における炭素繊維の使用増加

炭素繊維は、その優れた強度と軽量性から、スポーツ用品の製造に頻繁に採用されています。テニスラケット、オール、ピッケルボールのパドル、アーチェリー、ホッケースティック、釣り竿、野球のバット、自転車など、さまざまなスポーツ用品に炭素繊維が使用されています。また、特殊な用途での設計の柔軟性を発揮し、機器の性能に欠かすことのできない正確な形状は、カーボンファイバーコンポジットなら簡単に実現できます。ゴルファーやサイクリストは、炭素繊維による性能向上の恩恵を受けています。テニスラケットは、スポーツ用品の中でも最も具体的に炭素繊維が使用されている製品です。これらの要素が、スポーツ用品における炭素繊維市場に拍車をかけています。

抑制要因:製品コストの高さ

カーボンコンポジットは、その高い性能と軽量性から、風力発電、石油・ガス、建設、航空宇宙、自動車などの産業で頻繁に利用されています。しかし、その製品は金属に比べて高価で、多くの産業でカーボンコンポジットの普及を妨げる要因となっています。炭素繊維の原料である前駆体の歩留まりが、その価格に直接影響します。現在、PAN系炭素繊維の変換効率はわずか50%で、航空宇宙グレード以外の材料では1kgあたり平均21.5米ドルのコストがかかっています。

市場機会:クリーンエネルギー分野での需要増

炭素繊維市場は、風力発電産業の影響を大きく受けています。化石燃料の枯渇に伴い、再生可能な資源からエネルギーを生み出すことが世界的に認知されるようになりました。風力発電のタービンブレードは炭素繊維で作られることが多く、その結果、より空気力学的にも優れた軽く、より長く硬い、効率の良い風力発電ができ、エネルギーの平準化費用(LCOE)が安くなっています。風力発電の発展により、炭素繊維の利用は増加し、市場の拡大に有益に働くものと思われます。

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