燃料電池の市場規模、2028年に15億3,266万米ドル到達予測

燃料電池の市場規模は、2021年の3億3,243万米ドルからCAGR24.4％で成長し、2028年には15億3,266万米ドルに達すると予測されています。燃料電池は、アノード、カソードと呼ばれる2つの電極が化学反応を起こすことで電気を発生させます。

牽引要因：研究活動の活発化

研究開発活動の大部分は、燃料電池自動車の開発と進歩に集中することで、市場の活性化につながってきました。近年では、ユーティリティや防衛分野のUAV、ポータブル発電ユニットに関する研究・製品開発活動も急速に進展しています。各国政府がクリーンエネルギー源の活用に高い関心を寄せていることから、燃料電池を用いた発電への投資も拡大しており、このことが、未来の燃料電池市場の成長を後押ししています。

抑制要因：インフラストラクチャーの不足

燃料電池の動作は、水素に大きく依存しています。水素のインフラには、水素の製造、貯蔵、輸送、流通が含まれ、水素が製造された後には、それを分配する必要があります。水素は、パイプラインやさまざまな輸送手段によって使用地点に送られます。水素燃料電池自動車の商業的な普及は、水素燃料ポンプが利用可能かどうかにかかっています。世界中の多くの地域では、水素の配送に必要なインフラが整っていません。業界の専門家によると、これらの地域の自動車用水素充填ステーションは、10年以上にわたって増加し続けると思われます。水素充填のインフラが限られていることは、将来的に、燃料電池自動車による水素生成の需要に影響を及ぼす可能性があり、水素充填ステーションの開発には、官民による多額の投資と集中的なサポートが必要になります。サポートするインフラがないことは、現時点における水素ベースの燃料電池技術市場の成長を制限することになります。

市場機会：燃料の柔軟性

燃料電池は、メタノールや天然ガスなどの燃料からエネルギーを生み出し、熱や水を生成します。運転に必要な燃料の種類は、膜の種類だけでなく、燃料電池に使用される触媒の種類によっても異なります。プロトン交換膜を用いた燃料電池には、純粋な水素を必要とするものと、燃料に融通性を持たせてユーザーに使い勝手を良くしたものがあります。例えば、リン酸型燃料電池（PAFC）、固体酸化物型燃料電池（SOFC）、アルカリ型燃料電池（AFC）、ダイレクトメタノール型燃料電池（DMFC）は、純粋な水素がなくても正常に動作することが可能です。燃料の柔軟性とは、従来型燃料および非従来型燃料のどちらでも利用できる燃料電池の運転能力のことで、純粋な水素が利用できない場合でも、有利な市場機会を提供することが出来ます。