決済カード、欧州の年間総支出額は4兆ユーロに(Retail Banking Research発行レポートより)

【急速な使用機会の増加がカードの出費を促進】

Retail Banking Researchの最新レポート「欧州の決済カード発行・加盟店獲得状況」によると、カード保有者による支出は2018年に英国、フランス、ドイツで最も多く、2014年と比較してそれぞれ26%、19%、22%増加しました。4番目の市場であるロシアでは、同時期の支出が倍増しました。

当レポートは、支出の増加がカード使用の増加と密接に関係していることを示しています。中でも顕著な成長を見せたギリシャでは、国指定のカードの受け入れが多くの加盟店で広まっているため、カードの使用が7倍増加しました。当然のことながら、ギリシャでは支出も急速に伸びており、4年間でほぼ4倍になりました。

東欧は、支出面で最も急速に成長する傾向があり、中でもウクライナ、ルーマニア、ハンガリーでは倍増しました。最近のヨーロッパ全体におけるカード支出の急増は、主に非接触型決済の採用と受け入れの増加、オンラインショッピングの増加に起因している可能性があります。
【消費者行動シフトにみる変化:日々の取引に使用されるカード】

当レポートによると、ヨーロッパ全体では、取引数は支出のほぼ3倍の速さで増加しており、その結果、取引あたりの平均価格は2014年の46ユーロから2018年の34ユーロへ減少を続けています。その理由は、顧客が非接触決済やモバイル決済を急速に採用するようになり、日常的にカードが低価値の購入にまで使用されるようになったからです。その結果、欧州の消費者がカードで支払う回数の増加が前年比で加速しています。

ロシアでは、過去4年間でカードによるチケットの購入回数が約4倍に増えましたが、平均チケット価格は欧州で最も安く、12ユーロでした。これは欧州の他の地域でも見られる一般的なパターンではありますが、特にロシアにおいては、モスクワとサンクトペテルブルクの地下鉄システムでの非接触発券や、多くの銀行が提供する有利なキャッシュバック報酬制度、現金ではなくカードを使用することでインセンティブを得られるなどのイニシアチブによって促進されてきました。

【デビットカードの使用増加が市場全体の成長を促進】

Retail Banking Researchの調査によると、欧州の大部では、デビットカードによる支出の割合の増加が見られます。経済の不確実性と倹約への意識の高まりにより、後払いのクレジットカードから、その場で決済を行うデビットカードへ消費者の大きなシフトチェンジがありました。この変化が最も顕著に表れたのがギリシャです。ギリシャでは2014年に26%だったデビットカードの支出が2018年には68%に増加しました。

Retail Banking Researchのトーマス・マッデン氏は、次のようにコメントしています。「決済カードを使用する消費者の増加と、欧州全土でみられるネットワークの拡大が、カード支出に見られる持続的な成長を促進しています。中でも、多くのヨーロッパ人の支払い方法として定着してきているデビットカードは、カード利用額を著しく押し上げています。」

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