グリーン水素のインド市場、2030年に80億米ドル到達予測

気候変動やエネルギー安全保障に対する意識の高まりから、インドのグリーン水素市場は、カーボンフットプリントの削減を強く意識した成長を遂げています。グリーン水素は、水を電気分解することで再生可能エネルギーだけで製造され、その過程で二酸化炭素を排出することはありません。水を水素と酸素に分解するために、電解法が採用されており、風力発電を利用して供給されるグリーン水素を大量に製造しています。そのため、グリーン水素の使用は化石燃料への依存度を下げるのに役立ちます。インドのグリーン水素市場は、2030年度の80億米ドルからCAGR20.61%で成長し、2050年には3400億米ドルに達すると予測されます。

化学産業からの需要、気候変動、経済成長の加速、人口増加、都市化などが市場の成長につながっています。また、大気汚染や二酸化炭素排出に対する懸念が高まる中、グリーン水素の生成は、温室効果ガスや汚染物質の排出を低減し、グリーンで持続可能な成長を促進することにつながります。IBEFによると、グリーン水素の使用による、炭素汚染物質の削減は、現在から2050年までの間に、インドのCO2排出量を3.6ギガトン削減する可能性があると言われています。

一方、COVID-19パンデミックの発生は、グリーン水素市場をはじめとするいくつかの市場に悪影響を及ぼしました。インドのグリーン水素市場は、輸送の制限、原材料不足、現場活動の鈍化、化学製品の需要減少などの悪影響を受けました。その後、移動や外出先での集まりの制限が解除され、市場は再び拡大しています。

企業によるグリーン化計画

インドでは、すでに多くの企業がグリーンエネルギー分野への参入を始めています。例えば、インドで最も価値のある企業の一つであるアンバニ氏のReliance Industries社は、ソーラーパネル、クリーン水素電解装置、充電式バッテリーの増産を計画しています。同様に、Adaniはグリーン水素などの再生可能エネルギーに700億米ドルの資産を投じると表明しています。

自立したインドをつくるチャンス

グリーン水素は、インドが輸入への依存を減らし、エネルギー産業における自給自足を達成する大きなチャンスを与えてくれます。グリーン水素エコノミーの成功は、バリューチェーンの大幅な国産化にかかっています。ソーラーパネルや電解槽の国産化は、インドの輸入依存度を下げ、経済成長を促進し、エネルギー転換を加速させます。

脱炭素の工業化を目指して

インドは、二酸化炭素排出量を削減し、2070年までに排出量ゼロを達成するために、さまざまな取り組みを行っています。グリーン水素の計画的な導入により、インドは現在から2050年のまでの間に3.6ギガトンもの炭素排出量を削減することを目指しています。インドは、脱炭素のもとで工業化する世界初の経済国となることが期待されています。

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