外科縫合の市場規模、2026年に49億米ドル到達予測

外科縫合の市場規模は、2021年の37億米ドルからCAGR6.0%で成長し、2026年には49億米ドルに達すると予測されています。外科縫合市場は、外科手術の件数が増加していることで、着実に成長しています。また、外科手術に対する有利な償還シナリオや、先進的な縫合糸の開発も、市場の成長に貢献しています。しかし、その他の創傷ケア製品の存在や、低侵襲手術への関心の高まりなどが、この市場の成長をある程度制限することが予想されます。

COVID-19による外科縫合市場への影響

COVID-19の発生により、医療機器業界は、2020年から2021年の第1四半期、第2四半期にかけて、成長率の停滞または急落が考えられます。一方、手術用消耗品分野の一部とされる手術用縫合糸などの医療製品は、2020年および2021年の収益に大きな変化は見られないと考えられます。現時点でのパンデミックのシナリオは、外科手術は2021年の第1四半期には増加し、同市場の成長にある程度の影響を与えると考えられます。

牽引要因:外科手術件数の増加

2016年のWHOの報告書によると、世界の推定平均手術率は、人口10万人あたり年間4469件で、交通事故とそれに伴う外傷が外科治療の主な原因となっています。毎年、人口100万人あたり約174人の死亡事故が発生しています。さらに、毎年約130万人が道路上で死亡していると推定されています。交通事故による死亡者1人に対して、20人の非致死性の負傷者がおり、これらの負傷者はしばしば外科的介入を必要とします。

高齢化社会では、慢性疾患のリスクが高く、頻繁に手術が必要になります。米国で行われる手術のうち、65歳以上の成人が高い割合を占めています。高齢化社会の急速な進展と慢性疾患の発生率の上昇は、手術件数を急速に増加させることが予想されます。さらに、2030年までに、非感染性疾患(NCD)が、低所得国では疾病負担の2分の1以上、中所得国では4分の3以上を占めるようになると予測されています。また、高齢者層では、低・中・高所得国において、NCDが疾病負担の87%以上を占めています。特に老年人口における慢性疾患の高い罹患率は、外科的治療の実施件数を大幅に増加させ、その結果、外科縫合の需要と使用を促進しています。

抑制要因:代替となる創傷ケア管理製品の存在

局所皮膚接着剤、止血剤、シール剤、創傷閉鎖器具(ステープリングデバイス、結紮クリップ、創傷閉鎖ストリップなど)は、手術用縫合糸の代替品として使用されています。これらの代替品には一定の利点があります。例えば、ステープリングは縫合よりも迅速に行うことができます。さらに、縫合を必要とする部位は、素材の選択を決定する重要な要素となります。頭部外傷の場合、ステープラーは素早く作業でき、時間と出血量を節約できるため、縫合糸よりも好ましい選択となります。同様に、小さな切開や10cm未満の傷は、組織接着剤を使用することで、縫合糸のように抜糸する必要がなく、小児患者にとっても比較的痛みの少ない手順で傷を閉じることができます。また、創傷被覆材やテープも小さな裂傷の閉鎖に使用できます。これらの製品は、高齢者、特に皮膚の弱い患者の場合、より負担の少ない閉鎖と予後をもたらします。外科縫合よりも効率的でメリットがあるため、これらの代替品が同市場の主な抑制要因となっています。

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