軍事用AIの市場規模、2025年に116億米ドル到達予測

軍事用AIの市場規模は、2020年の63億米ドルからCAGR13.1%で成長し、2025年には116億米ドルに達すると予測されています。軍事用AI市場の成長は、AIを統合したシステムの開発への投資が増加していることや、クラウドベースのアプリケーションや高性能コンピュータの導入が進んでいることに起因しています。しかし、保護主義的な政策や標準プロトコルの欠如により、軍事プラットフォームへのアクセスが制限されていることが、この市場の成長を抑制する要因となっています。

COVID-19による軍事用AI市場への影響

COVID-19パンデミックが世界各国の経済に大規模な影響を与えています。この状況下で、軍事用AI市場は拡大を続けています。これは、Lockheed Martin(米国)、IBM(米国)、Northrop Grumman(米国)などの大手メーカーが、AI機能の開発に多額の投資を続けていること、政府がこれらのシステムのセキュリティ開発を後押ししていることなど、需要側と供給側の両面から見て取れます。AIの軍拡競争が激化する中で、AIシステムが提供する能力向上の可能性を、各国政府が認識していることに起因すると考えられます。

一方で、AIシステムの構築は全体的に打撃を受けています。これは、サプライチェーンの混乱による原材料の不足が原因です。製造と需要が元に戻るには、国が直面しているCOVID-19蔓延のレベル、製造業の操業レベル、輸出入規制などに依存します。企業の受注に対し、配送スケジュールが確定しているかどうかは不確実です。

牽引要因:AI能力向上のための政府の防衛費増加

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2019年の世界の軍事費は1兆9170億米ドルと推定され、2018年の支出と比較して3.6%増加しました。これは、各国間の紛争が増加し、国防軍の強化につながっていることが原因と考えられます。例えば、2020年には、シリア内戦、サウジアラビア・イエメン紛争、米国・イラン間の緊張、インド・中国間の緊張など、9つ以上の主要な国際紛争が発生しました。このような紛争の結果、AIに対応した高度な兵器システムの調達が増加し、既存のシステムに新しい技術を組み込んだ効率化が進みます。各国政府は、AI機能の計画、開始、既存の機器への統合、および新しい機能の開発を専門とする特別な部門や機関を設立しています。国家科学技術会議(米国)、AI技術戦略会議(日本)、AIカウンシル(英国)などがそのような機関です。

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