無酸素銅の市場規模、2025年に259億米ドルに到達予測

無酸素銅の市場規模は、2020年の199億米ドルからCAGR5.3%で成長し、2025年には259億米ドルに達すると予測されています。無酸素銅市場は、世界的な電子・電気産業や自動車産業の成長を背景に、近年大きく成長しています。中国、ブラジル、インドなどの新興国における電子機器市場の発展に伴い、航空宇宙・防衛・輸送産業における高品質な素材の需要が高まっていることが、市場の成長を加速させています。一方、原材料価格の変動や無酸素銅の高い加工コストが、市場の抑制要因となっています。

COVID-19が無酸素銅市場に与える影響

国際銅研究グループ(ICSG)によると、2019年の世界の銅鉱山生産量は0.2%の小幅な減少となりました。しかし、2020年の世界の銅鉱山生産量は、1.5%の減少が予測されました。これは主に、COVID-19によるロックダウンで、ペルーを筆頭に多くの国で鉱山が一時的に閉鎖され、生産量が減少したことによるものです。しかし、新規プロジェクト、もしくは、稼働中の鉱山からの生産や、インドネシアの生産の大幅な回復により、この減少分を一部相殺することが可能と考えられました。しかし、この追加生産にもかかわらず、現在のICSGによる2020年の鉱山生産量予測は、2019年の生産量を下回るものとなっています。2021年には4.5%の成長が見込まれますが、これはウイルス制御の成果に左右されることになります。

精銅の生産・需要は横ばいを見込んでいますが、無酸素銅の需要は、主に2020年の第2四半期に電子・電気機器産業の需要が減少することにより減少すると考えられます。この需要減は、2020年の第3四半期、第4四半期には、スマートフォンやゲーム機、医療機器などの電子機器の需要が増加していることから回復すると予想されます。COVID-19パンデミックの無酸素銅の需要に及ぼす影響は、2%から3%程度にとどまると予測されます。

牽引要因:電子・電気機器産業での無酸素銅の需要拡大

電子・電気機器は非常に細分化された産業で、中国、インド、ブラジルの新興国からの需要が増加しており、急速に成長しています。銅は、電子・電気製品のいくつかの用途の製造に広く使われている金属です。技術が進歩し、純銅製の金属や合金が求められるようになると、この業界の機器や部品の製造には、さまざまなグレードの無酸素銅が使われるようになります。無酸素銅の特性である高い電気伝導性と熱伝導性は、プリント基板、半導体、超電導体などの用途に適しています。また、この業界ではナノテクノロジーが採用されているため、純銅や無酸素銅の需要が高まります。さらに、電子・電気機器産業は、医療、通信、自動車など、他分野にも製品を提供しています。ここでは、導電性の素材が必要とされ、無酸素銅製品の重要な消費者となっています。

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