アクリル樹脂の市場規模、2025年に219億米ドル到達予測 塗料システムに含まれる有害なVOCが抑制要因に

アクリル樹脂の市場規模は、2020年の168億米ドルからCAGR5.5%で成長し、2025年には219億米ドルに達すると予測されています。アクリル樹脂の需要の増加は、新興国だけでなく、先進国の建設産業の成長にも起因しています。また、中国、インド、韓国、オーストラリア、ブラジル、チリなど、国の産業基盤の改善が市場の成長を牽引しています。

COVID-19のアクリル樹脂市場への影響

アクリル樹脂は主に建設業や工業分野で使用されています。COVID-19はこの業界に深刻な影響を与えました。各国のロックダウンと物流制限が建設業界に悪影響を与えています。サプライチェーンの混乱、労働力不足、物流の制約、部品の供給制限、需要の減少、企業の流動性の低下、各国でのロックダウンによる製造停止が、業界に悪影響を与えています。原材料の供給元や関連ビジネスは、この危機的な状況に対応するため、戦略の再評価を余儀なくされています。

住宅および商業施設の建設関連は、パンデミックによる停止状態にあります。この状況での同部門のアクリル樹脂の需要は、中程度以下と考えられます。主要な問題としては、注文出荷の遅延、サプライチェーンの制限、人手・機器、および材料の不足があります。パンデミック終結後は、アクリル樹脂市場は活性化し、需要は増加すると予想されます。医療分野では、パンデミックの影響で建設需要が増加しています。病院、介護施設、製薬・医療施設の需要の増加は、アクリル樹脂市場と関連する建設部門に安定した需要を提供してきました。自動車分野では、景気回復と、より個人的な輸送手段としての認識から、市場の需要は増加しています。

牽引要因:インフラや建設活動の増加

中国やインドなどの主要国の急速な工業化と都市化により、ここ数年でアクリル樹脂の需要が急増しています。建築・建設業界では、保護や装飾のための高性能な材料が必要とされています。建築・建設用の塗料、コーティング剤、接着剤、シーラントなどのアクリル樹脂ベースのシステムの品質と性能は、コスト効率が高く、非常に安定しております。その結果、建築・建設業界での需要が増加しています。特にAPAC(アジア太平洋地域)を中心とした新興国地域の人口増加と、インフラや住宅空間の改善の必要性が、アクリル樹脂の世界的な消費を牽引すると予想されています。2019年の世界人口は約77億人と推計されており、APACは総人口の約60%を占めています。アクリル樹脂をベースとしたシステムは、住宅・商業建設市場に貢献しています。住宅建設は、可処分所得の増加、ライフスタイルの変化、一戸建て住宅の需要、容易な資金調達、投資の増加などの要因により、ここ数年で大きく成長しました。

抑制要因:健康と環境問題

溶剤系システムの環境と健康への悪影響は、市場の抑制要因の一つです。溶剤ベースのシステムの急性健康被害には、頭痛、めまい、意識不明への進行、痙攣などがあります。鼻、目、喉の炎症も、これらのシステムによる影響の一部です。塗料システムに含まれるVOC(揮発性有機化合物)は、人間だけでなく環境にも有害です。塗料は乾燥または硬化段階でVOCを放出します。VOCの暴露は、頭痛からアレルギーや喘息反応に至るまで身体への劣化効果を持っています。また、心臓や肺などの身体器官に重要なストレスを与える可能性もあります。

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