固体酸化物形燃料電池の市場規模、2025年に28億8100万米ドル到達予測

固体酸化物形燃料電池(SOFC)の市場規模は、2020年の7億7200万米ドルからCAGR30.1%で成長し、2025年には28億8100万米ドルに達すると予測されています。 固体酸化物技術を用いた燃料電池は運転効率が高く、運転中に発生する熱を利用することでさらに効率を高めることができます。同市場を牽引する主な要因としては、政府の補助金や燃料電池プログラムの研究開発の増加、燃料の柔軟性とエネルギー効率の高い発電の需要の増加、欧州や北米における厳しい排ガス規制によるクリーンなエネルギー源の需要などが挙げられます。

COVID-19による固体酸化物形燃料電池市場への影響

COVID-19パンデミックの影響で、複数の国が完全にロックダウンされました。政府や地方自治体から厳しいガイドラインが出されたため、必要性の低い業務はすべて停止されました。これにより、エンドユーザーの活動が停止し、SOFC市場に悪影響を及ぼしました。さらに、エンドユーザー産業が完全に稼働していないため、生産やサプライチェーンの遅れに課題が残っています。

牽引要因:政府の補助金と燃料電池プログラムの研究開発の増加

燃料電池に提供される政府の政策やインセンティブは、固体酸化物形燃料電池産業の成長にとって重要な推進要因の一つです。カリフォルニア州、デラウェア州、コネチカット州などの州は、燃料電池プログラムをリードしており、奨励金や補助金を提供しているため、米国ではSOFCやその他の燃料の設置が進んでいます。

アジア太平洋地域では、中国、日本、韓国が、実用規模の発電を含む様々な用途の燃料電池の研究を進めています。2019年、中国の財務省、工業・情報技術省(MIIT)、科学技術省、国家発展改革委員会は、新エネルギー車に対する補助金制度を発表しました。また、ブルームエナジー社やその子会社などの企業は、韓国政府と緊密に連携し、SOFCをベースとした実用規模の発電所を設置しています。

抑制要因:SOFCに必要な高い資本コスト

SOFCは、メタンやLPガスなどの天然ガス系燃料を電気触媒で酸化して発電するために、さまざまな化学要素が複雑に絡み合っています。基本的な化学プロセスは発熱反応であるため、SOFCは通常、700℃〜1200℃の非常に高い温度で動作します。従来のセラミック電解質では、このような温度での運転効率が低いため、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を電解質として使用することが求められています。また、米国の研究機関の調査によると、YSZの複合電極を電解液と併用することで、さらに性能が向上するとの結果が出ています。しかし、ジルコニウムの単位当たりのコストは、従来のセラミック系電解質のほぼ2倍に相当します。そのため、燃料電池の製造コストや設置コストが高くなり、同市場の抑制要因となっています。

本記事に関するお問い合わせ先:株式会社グローバルインフォメーション
お問い合わせフォーム:www.gii.co.jp/form/inquiry
お電話:044-952-0102
受付時間 9:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]