工業用ワックスの市場規模、2025年に89億米ドル到達予測

工業用ワックスの市場規模は、2020年の73億米ドルからCAGR4.0%で成長し、2025年には89億米ドルに達すると予測されています。これは、キャンドル、化粧品、タイヤ・ゴムなど、様々な用途から工業用ワックスの需要が高まっているためです。キャンドル市場は、工業用ワックスの最大の用途分野です。カラーキャンドルやフレグランス付きキャンドルは、ホームデコレーション業界で雰囲気作りの目的で重要性を増しています。天然ワックスは、北米や欧州などの環境規制に後押しされ、食品、パッケージ、化粧品・パーソナルケアなどの用途で需要が拡大しています。中国、インド、その他のアジア諸国における人口増加とGDP成長率の上昇が、工業用ワックス市場の成長を後押ししています。

COVID-19パンデミックと原油価格の下落が工業用ワックス市場に与える影響

COVID-19パンデミックによる、生産活動の停止やサプライチェーンの混乱により、北米や欧州の工業用ワックス市場は縮小しました。この影響は、石油・ガス価格の下落によってさらに強まりました。さらに、ワックスが使用されている化粧品、キャンドル、消費者製品の需要が減少し、工業用ワックスの需要は低迷しています。

牽引要因:製品の進歩に伴うキャンドル生産の成長

従来、キャンドルは照明器具としてのみ使用されていましたが、現在では、祭りの儀式、家の装飾、手工芸品などで極めて重要な役割を果たしています。欧米諸国では、宗教観やライフスタイル、生活習慣などから、日常のみならず、お祭りの際にも多くのキャンドルが使われています。製品の形状、スタイル、色、香りなど、キャンドル製品の進歩に伴い、顧客はこれらの製品に魅了されています。消費者の行動が変化し、キャンドルを使った工芸品や装飾品、インテリアの人気が高まったことで、伝統的なキャンドル産業は、先進的で革新的な、ブランド志向の産業へと変化しています。現在、キャンドル製造は、製品の持続可能な開発を求め、従来のパラフィンワックスからマイクロクリスタリンワックスや合成ワックスに置き換えられています。また、近年製造拠点の多くはアジア太平洋地域にシフトしています。

抑制要因:包装用途でのパラフィンワックスの使用の減少

包装用途での工業用ワックスのシェアは、北米と欧州地域に占められています。しかし、食品包装業界では、包装に使用されるパラフィンワックスの健康被害への懸念が高まっています。そのため、最近では、食品の包装に天然ワックスが使用されるようになりました。同時に、食肉包装業界の成長も、天然ワックスの需要拡大に影響を与えています。また、FDA(米国食品医薬品局)やEU(欧州連合)などの政府機関は、工業用ワックスの使用に規制を課しています。

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