医薬部門向け膜ろ過の市場規模、2025年に102億米ドル到達見込み 技術開発には政府やプライベートエクイティ企業からの投資も

医薬部門向け膜ろ過の市場規模は、2020年の58億米ドルからCAGR12.0%で成長し、2025年には102億米ドルに達すると予測されています。製薬およびバイオ医薬品産業の急速な成長、シングルユース技術採用の増加、ナノろ過技術への需要の高まりが、市場の成長を牽引する主な要因となっています。

COVID-19の医薬部門向け膜ろ過市場への影響

2019年12月に中国の武漢で発生する前はほとんど知られていなかったCOVID-19は、地域的な危機から世界的なパンデミックへと拡大しました。世界保健機関(WHO)が正式にウイルスの発生をパンデミックと宣言したことで、既存の製薬会社だけでなく小規模な新興企業も、感染症と戦うための治療法やワクチンを開発に踏み出しました。

世界中のバイオ製薬会社が、新型コロナウイルスの効果的なワクチンを開発するために、絶え間ない努力を続けています。複数の政府やプライベートエクイティ企業からの投資に支えられ、ワクチン開発はいまや世界的な目標となっています。ろ過や精製を含むワクチン開発の下流工程をサポートするために、バイオ製薬企業は様々なろ過技術や材料を選択しています。例えば2020年9月、Merck MilliporeはインドネシアのEijkman分子生物学研究所への支援として、ワクチン開発のプロセスを迅速化するために、8万6000米ドル相当の研究機器や材料を寄贈したと発表しています。これは、高品質の第3種純水を製造する、前処理用の逆浸透膜を内蔵した浄水システムです。また、パンデミックにより、ろ過製造企業は成長の機会を得て生産設備を拡大しています。さらに、2020年10月、Sartoriusはバイオ医薬品製品を開発するためのカスタマーインタラクションセンターを北米に開設する計画を発表しました。このセンターで、COVID-19ワクチンの製造・開発もサポートする予定です。

コロナウイルスの危機が、医薬品膜ろ過市場におけるサプライチェーン、生産、顧客への出荷に与える影響は、全体として組織的にプラスの成長を示しており、現時点で管理下にあると考えられます。短期的および中期的に予測可能な事は非常に限られており、影響はごくわずかです。

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