電気モーター市場:中国やインドを中心とした産業・商業部門の成長によるHVACシステムの需要増加が市場の成長を牽引

電気モーターの市場規模は、2020年の1133億米ドルから2026年には1691億米ドルに達し、CAGR6.9%で成長すると予測されています。世界的な電力消費量の増加、様々な産業での電気機器や機械の使用、再生可能エネルギー分野の発展が、市場の成長を牽引する主な要因となっています。

COVID-19の電気モーター市場への影響

既に契約済みまたは製造工程に入っている電気モーターへの影響が最も大きいのは、サプライチェーンです。コロナウイルスの蔓延を防ぐために各国が産業を閉鎖したことや、感染した労働者の存在などにより、業界の幹部は、建設や納入が遅れると予想しています。電気モーターを製造するための部品の多くは、中国、米国、欧州などから輸入されています。中国と米国での製造中断は、今後1、2年の間に電気モーター市場の大幅な下落につながる可能性があります。

COVID-19パンデミックにより、多くの国の現地通貨が下落しました。このことにより、需要と供給の不均衡が生じ、部品メーカーの財政的損失につながっています。電気モーターの製造に使用される主要部品は一般的に米ドルで調達されており、その結果、部品コストが増加しています。

推進要因:住宅、商業、工業用のエンドユーザーにおけるHVACシステムの需要の増加

暖房・換気・空調(HVAC)システムは、温度調整により快適性を提供し、室内空間の空気の質を確保します。特に大規模なオフィスビルやショッピングモールでは、近代的なインフラの中核となる要素の一つです。HVACシステムでは、気流システムの高効率化を実現し、その寿命とパワーを最大限に発揮させるために、電動DCモータが広く使用されています。HVACシステムの需要はアジア太平洋地域、特に中国とインドで増加しており、その産業および商業部門の継続的な成長に起因しています。

制約要因:中国からの原材料価格の変動

電気モーターの原料となる永久磁石、棒鋼、銅線や、特殊合金に代表される精密薄板金属などの原材料価格は、中国の一部のメーカーによってコントロールされています。製品の差別化はあまりされておらず、製品の価格によって特定のサプライヤーの市場での優位性が決まります。その結果として生じる価格変動は、市場の他のメーカーやサプライヤーが負担しなければなりません。例えば、製造工程で希土類永久磁石の価格変動に直面した場合、製造業者やサプライヤーは、最終用途の顧客に価格変動を転嫁することができません。そのため、原材料サプライヤーの利益率はマイナスの影響を受けます。

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