グルテンフリー製品の市場規模、2025年には83億米ドルに到達予測 セリアック病や食物アレルギーの認知度の向上と診断の増加により市場は成長

グルテンフリー製品の市場規模は、2020年の56億米ドルから2025年には83億米ドルに達し、CAGR 8.1%で成長すると予測されています。市場は、セリアック病の有病率の上昇と、健康的な食生活を目指す人口の増加に牽引されています。グルテンは、主に4つの穀物、すなわち、小麦、大麦、ライ麦、ライ小麦(交雑種)に含まれているタンパク質です。その主な目的は、生地の弾力性を増すことで、モチモチとした食感を与え、製品の形状を保持することで、その形を決定します。しかし、このタンパク質は、健康関連の様々な問題を引き起こす可能性があるため、すべての消費者に適しているわけではありません。このため、グルテン不耐症やグルテンに起因する健康上の問題に直面する消費者からの強い要望により、企業はグルテンフリー製品を製造し、世界的に販売しています。

COVID-19のグルテンフリー製品市場への影響

COVID-19パンデミックは、市場に中程度のマイナス影響を与えると予測されています。サプライチェーンが制限されているため、メーカーは原材料を調達し、商品を製造することができません。さらに、ロックダウンなどの政府の取り組みにより、利用可能な労働力に限りがあり、製造工場も足踏み状態となっています。グローバル企業は、限られた国際貿易活動のため、最終製品の輸入と輸出における課題に直面しています。これらすべての要因がサプライチェーン全体に影響を与え、市場に悪影響を与えています。しかし、パンデミック後、グルテンフリー製品の市場は、消費者の食生活が健康的なライフスタイルにシフトした結果、グルテンフリーやその他のフリーフードを好む消費者が増加することで、成長傾向が見られると予測されています。2020年の第4四半期までは市場の足踏み状態が続くと予想されています。

促進要因:セリアック病などの食物アレルギーの診断が増加

グルテン不耐症またはセリアック病は、小腸の内膜にダメージを与え、消費された食品からの栄養素の吸収を妨げる自己免疫疾患です。これを放置しておくと、他の免疫障害、骨粗しょう症、甲状腺疾患、がんなどを発症する可能性があります。セリアック病の世界的有病率は世界人口の1.4%であるとの報告もあります。また、欧米諸国よりも発展途上国の方がセリアック病の影響が大きいことがわかりました。セリアック病の有病率はアジアが1.8%で最も高く、アフリカの1.1%が最も低いことが観察されました。これにより、セリアック病は主に欧米人に影響を与えるという神話は解消されました。2000年代以前の数十年間では、これらのセリアック病の有病率は、他の消化関連の問題と誤診される事が多かったため、ほとんどの人に知られていませんでした。

しかし、信頼性の高い診断法が開発されたことで状況は一変しました。現在、セリアック病の治療法としては、グルテンフリー製品の利用とグルテン含有製品の回避が唯一の方法となっており、グルテンフリー製品の需要を牽引しています。また、セリアック病に関する政府の啓蒙活動や取り組み、グルテンフリー製品のラベルの制定などにより、発展途上国を含むほぼ全ての地域で、グルテンフリー食品の必要性が国民の間で広まってきました。

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