ビジネスジェットの市場規模、2020年の188億米ドルから2030年には380億米ドルに到達予測 eVTOL航空機利用にさらなる可能性

ビジネスジェットの市場規模は、2020年の188億米ドルから2030年には380億米ドルに達し、CAGR7.3%で成長すると予測されています。富裕層の増加と新しい航空機プログラムの導入が市場の成長を牽引すると予想されます。

COVID-19のジェット市場への影響

COVID-19の発生は、国内線だけでなく国際線の航空規制により業界に悪影響を及ぼし、航空機の着陸や2020年の航空機の受注・納入が急減する事態を招きました。これは市場への短期的なマイナスの影響が予想され、2021年の第1四半期に予想される回復は緩やかなものになると思われます。COVID-19の経済的影響からの回復には2年から3年かかる可能性があり、航空便数と旅客数はCOVID-19前の予測と比較して減少する可能性があります。

一時的な生産停止は、ビジネスジェット機のOEM市場に悪影響を与えています。航空機の納入は、各国のロックダウンにより2020年の第1四半期と第2四半期に遅れがでており、メーカーの収益低下をさらに助長しています。

しかし、各地域で航空事業に一定の緩和が始まっているため、ビジネスジェット事業者やサービスプロバイダーによる、チャーターサービスの需要が伸び悩んでいます。例えば、Go Air航空会社は2020年6月までにインド向けに51便のチャーター便を運航し、8951人の乗客を乗せています。

クライアントは、より迅速なアクセスを得るためにチャーター便を選択することで、長くて混雑したチェックイン、税関や入国審査の列を避けています

促進要因:新プログラムの導入

ビジネスジェット業界のメーカーは、乗客体験の向上と運航効率の向上に力を入れています。メーカーは、二酸化炭素排出量の削減、運航コストの削減、アビオニクス(飛行のために使用される電子機器)、キャビン内部、航空機システムのアップグレードなどの分野を重視しており、これに合わせた新しい航空機プログラムを導入しています。Embraerは2018年にPraetor 500とPraetor 600を、2016年にLegacy 650Eを、Bombardierは2018年にGlobal 5500とGlobal 6500を、Cessnaは2016年にCitation Longitudeを、ホンダは2018年にHonda Jet Eliteを、Daherは2017年にTBM 910を、2019年にTBM 940を発表しています。

抑制要因:当局による製品認証期間の長さ

ビジネスジェット機メーカーは、新モデルを市場に投入する前に製品認証を受けることが義務付けられています。しかし、認証プロセスの効率が悪いため、航空当局は認証を遅らせています。安全性は、認証を提供する際に考慮される最も重要なパラメータです。メーカーが安全レベルに到達するためには、複数のテストと反復が必要です。その結果、承認を得るために長い時間がかかります。これは、企業の生産プロセスの遅延に加え、市場規模の損失につながります。認証問題によるタイムラグは、予約注文を失う事になりかねません。

市場機会:eVTOL航空機

ビジネスジェット機は、都市間移動の時間短縮のためにビジネスマンや企業に利用されています。しかし、都市間移動は混雑しており、都市内の移動時間が長くなっています。このような場合、従来のビジネスジェット機は空港で離着陸できるため垂直離着陸機用の施設を使用できず、その可用性はほとんどの場合、各都市1機に制限されています。大都市内の旅行では、VTOL機(垂直離着陸機)は複数の空港に離着陸できるため、メリットがあります。eVTOL機は、安価で騒音が少ないため、都市内での移動が容易になります。このコンセプトが商業化されるためには、バッテリー容量の面での技術的な進歩、バーティポート(垂直離着陸機用の離発着ターミナル)や充電ポッドなどのインフラの構築、そして強固な規制の枠組みが必要となります。eVTOL技術の出現により、ビジネス航空機市場は成長すると予想されています。

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