工作機械の市場規模、2021年までCAGR5.0%で成長予測 COVID-19パンデミックや米中間の貿易戦争により成長率は低下の見込み 

COVID-19後、工作機械の市場規模は、2020年の656億米ドルから2021年には689億米ドルに達し、CAGR5.0%で成長すると予測されています。これは、工作機械の最大の利用者である自動車産業の生産減少が続いていることに加え、製造業におけるCOVID-19パンデミックによるサプライチェーンの混乱を背景にしています。

 工作機械市場は2018年に過去最高を記録しました。しかし、ここ数年の自動車生産数は減少に転じており、関税に関する米中間の貿易戦争は下受け企業の需要を弱め、国際関係の不確実性が業界の投資判断に悪影響を与えていることから、2019年の機械需要は11%減となりました。

COVID危機後、アジア太平洋地域の生産量は、他地域と比較してより速く回復する

COVID-19が中国発であるにもかかわらず、中国は欧米と比較して拡散を抑制するための戦略を成功させています。最近では、中国は最小限の労働力で徐々に生産活動を再開しており、アジアは依然として最大の自動車生産地域です。工作機械市場は、5G通信や人工知能の進歩とともに需要が増加する傾向にあるため、半導体製造装置などの新技術への投資によって市場は促進され、より早く盛り返すと予想されています。

サプライチェーンの混乱により、工作機械メーカーをはじめとする各産業の、中国への依存傾向の見直しが進む

ロックダウンや生産の制限により、中国からの輸入に頼っていた材料の供給は滞り、工作機械メーカーに多大な影響を与えました。市場を占有している大手サプライヤーは、景気回復時には、多くの需要に対処するために、中小企業(SMEs)よりも大企業を優先させました。また、今回のサプライチェーンの混乱により、工作機械メーカーが主要部品のサプライヤーに過度に依存しており、CNC、電子部品、鋳造、高精度部品などのサプライヤーに対する交渉力が弱いことが明らかになりました。

製造業界は、戦略的に生産システムを再構築している

製造業の中には、全く異なる製品を作るために、生産システムの再構築を戦略的に計画するOEM(相手先ブランド製造)もあります。例えば、2月に中国で自動車産業が90%以上落ち込んだ際、Shanghai-GM-Wuling(SGMW)などの自動車メーカーは、医療用フェイスマスクの生産に向けて生産体制を早急に変更しました。これはCOVID-19の蔓延を緩和することにプラスに寄与し、同時に同社の収益あげ、肯定的な評判を呼びました。

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