3Dプリンティング医療機器の市場規模、2028年に69億米ドル到達予測
3Dプリンティング医療機器の市場規模は、2022年の27億米ドルからCAGR17.1%で成長し、2028年には69億米ドルに達すると予測されています。従来の製造技術は、多くの場合、複数の製造工程、組み立て工程、さまざまな部品の使用が必要でした。一方、3Dプリンティングは、複雑な医療機器を単一の統合部品として製造することで、製造プロセスを簡素化することができます。このように複雑さが軽減されることで、サプライチェーンが合理化され、製造時間が短縮され、組み立て工程に伴うエラーや故障のリスクが最小限に抑えることが出来ます。3Dプリンティング専用に設計された新素材の開発により、3Dプリンティング医療機器の用途が広がっています。生体吸収性ポリマーや特殊な金属合金など、適切な機械的特性を持つ生体適合性材料が、医療用途で使用されるようになりました。これらの材料は、生体適合性、耐久性、人体との一体性が強化されており、幅広い医療機器に採用されています。

サービス&ソフトウェア部門が最大シェアを占める
2022年は、サービス&ソフトウェア部門が最も高いシェアを占めました。同セグメントには、金型や部品の製造、ラピッドプロトタイピング、ソフトウェアサービス、3Dプリント製品の受託製造、前臨床試験、システムメンテナンス、CADやスキャニングソフトウェアなどの3Dソフトウェアプログラムを使用した3Dデジタルモデルの作成、トレーニングプログラムのエキスパートサービスなどのサービスが含まれます。印刷技術や材料の進歩に伴い、このサービス分野は大きな牽引力となっています。3D プリンティングは、複雑な形状の製品の製造を容易にし、従来の製造方法と比較して競争力のある価格を提供するため、ファーマ バイオテクノロジー企業や医療機器企業は、設計から製造に至るプロセスのあらゆる側面をアウトソーシングしています。
用途別に、カスタム補綴・インプラント部門が最大シェアを占める
用途別に、カスタム補綴とインプラント分野が2022年の3Dプリンティング医療機器市場の中で最も高いシェアを占有しました。カスタム補綴とインプラントは、個々の患者の解剖学的構造に基づいて設計・製造されます。このアプローチにより、正確な適合とより優れた機能性が可能になり、患者の快適性と転帰の改善につながっています。3Dスキャニングとイメージング技術の進歩により、正確な患者データを取得することが容易になり、そのデータを使用してパーソナライズされた補綴物やインプラントを作成することができるようになりました。
北米市場の高い成長率
2022年の3Dプリンティング医療機器市場は、45.0%で北米が最大シェアを占めました。これは、先端技術の採用と技術開発の増加によるものです。一方、アジア太平洋地域は、今後数年で大きな成長が見込まれています。同地域の3Dプリンティング医療機器市場は、2028年までの間、CAGR18.5%を記録する見込みです。これは主に、医療によって提供される近代的な設備と政府の有利な取り組みによってアジア諸国の病院数が増加していることに起因しています。中国の国家医薬品監督管理局(National Medical Products Administration)や日本の医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)など、アジア太平洋地域の規制機関は、3Dプリント医療機器のガイドラインや規制に積極的に取り組んでいます。明確な規制の道筋が確立されることで、これらの機器の安全性と有効性が保証され、3Dプリント技術の採用に対するメーカー、医療提供者、患者の信頼が高まっています。