CVD合成ダイヤモンドの市場規模、2027年に159億米ドル到達予測

CVD合成ダイヤモンドの市場規模は、2022年の113億米ドルからCAGR7.1％で成長し、2027年には159億米ドルに達すると予測されています。CVD合成ダイヤモンド市場の成長は、天然ダイヤモンドの採掘と比較して、CVD製造プロセスで生じる環境への影響が少ないことに加え、これらの宝石のコストがかなり低いことが要因となっています。

ダイヤモンド原石セグメントが最大に

タイプ別に、市場は、ダイヤモンド原石セグメントが最大シェアを占めると予測されています。これは、CVDダイヤモンドが採掘されたダイヤモンドと同一の特性を持ち、切断や研磨用途の産業用工具の開発に適していることに起因しています。実際、米国地質調査所によると、米国で製造されている工業用ダイヤモンド工具の約99%は、CVD合成ダイヤモンド技術で開発されていると言われています。ダイヤモンド原石は、研磨用途だけでなく、電子機器やヘルスケア用途にも活用されています。ナノエレクトロニクスや量子エレクトロニクスの分野で需要が伸びており、同セグメントの市場展望は明るいと予測されています。

カラーセグメントは最高のCAGRで成長

色別に、カラーセグメントは2027年まで、最高のCAGRで成長すると予測されています。カラーダイヤモンドは、入手しやすい無色のものと差別化され、宝石として急速に人気を集めています。CVD合成ダイヤモンドの製造過程での制御が可能なことから、クライアントの要件に応じて着色することができます。光学機器メーカーの中には、最先端の用途のために特別に着色されたダイヤモンドを必要とするところもあり、世界市場における着色CVDダイヤモンドの需要をさらに押し上げるものと思われます。

機械および切削工具部門が最大に

用途別に、機械および切削工具は、2027年までの間、最大シェアを占めると予測されます。ダイヤモンドは、モース硬度10を持つ、人類が手に入れることのできる最強の天然素材に分類されます。そのため、金属、プラスチック、セラミックなどの高強度材料の機械加工や切断に多く使用されています。CVD合成ダイヤモンドの製造は、数世紀を要する天然ダイヤモンドに比べ安価で、品質管理も行き届いているため、研磨材用途では採掘ダイヤモンドに取って代わりつつあります。

北米が最大市場に

北米は、2027年までの間、支配的なシェアを占めると予測されています。米国は、工業分野と宝石分野の両方からの需要が増加しているため、CVD合成ダイヤモンドの最大消費国となっています。また、米国は、切削工具と工作機械の最大製造国でもあることから、地域の自動車産業や航空宇宙産業は、炭素繊維強化プラスチック（CFRP）などの切断や成形にダイヤモンド工具を利用しています。一方、米国のミレニアル世代は、CVDダイヤモンドが安価であることから、宝飾品に使用することを検討し始めています。Natural Diamond Council（NDC）の調査によると、ミレニアル世代とZ世代の約70％が、婚約指輪やジュエリーにCVD合成ダイヤモンドの購入を検討していると言われています。