浸漬冷却流体の市場規模、2027年に26億米ドル到達予測

浸漬冷却流体の市場規模は、2022年の17億米ドルからCAGR8.1%で成長し、2027年には26億米ドルに達すると予測されています。浸漬冷却流体は、変圧器、データセンター、EVバッテリーなどの機器の冷却や熱伝達のための流体として使用され、機器の性能を向上させることができます。

牽引要因:アジア太平洋地域における電力網の拡大

アジア太平洋地域のT&Dシステムへの投資額は、2020年の2500億米ドルからCAGR4.15%で成長し、2030年には3860億米ドルに達すると予想されており、電力網の整備と拡張に起因すると言われています。アジア太平洋地域の発展途上国では、急速な工業化と都市化により、電力需要の増加が見込まれており、効率的な変圧器が必要とされています。変圧器内の熱は、変圧器の効率にしばしば悪影響を及ぼします。変圧器の効率的な動作には、効果的な冷却が必要となり、同地域における浸漬冷却流体の必要性を高めています。

抑制要因:変圧器における鉱物油の使用に関する環境問題

鉱油は、冷却効率が高く、入手が容易であり、低温での良好な流動点や優れた熱冷却能力などの化学的特性により、長い間変圧器用冷却油として好まれてきました。しかし、これらのオイルは加工・精製されているため、生分解性が低いという問題があります。このため、使用後の油のリサイクルや廃棄が問題となっています。このように、鉱物油の使用に関する環境への配慮は、浸漬冷却流体の需要にマイナスの影響を与えると思われます。

市場機会:浸漬冷却用バイオベースオイルの需要増加

バイオベースの変圧器用オイルは、植物油を原料として製造され、シリコン、石油系炭化水素、ハロゲンを含まないため、高い耐火性を持ち、生分解性があります。また、鉱油に比べ絶縁破壊が起こりにくいという特徴もあり、環境にやさしい冷却液でもあります。このため、バイオベースオイルは、変圧器やデータセンターなどの最終用途で浸漬冷却流体として使用されます。

課題:原油価格の変動

原油は、液浸冷却液の原料として重要な資源です。変圧器用オイルなどの冷却液は、原油を高度に精製・加工した製品です。原油価格の変動は、そのまま油冷媒の価格変動につながります。2014年以降、原油価格は常に変動しており、変圧器用浸漬冷却流体に鉱油を使用する際の課題となっています。

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