獣医診断の市場規模、2027年に44億米ドル到達予測

獣医診断の市場規模は、2022年の28億米ドルからCAGR9.2%で成長し、2027年には44億米ドルに達すると予測されています。市場成長の主な要因は、動物医療費の増加、疾病管理・疾病予防対策の強化、先進国における獣医開業医数の増加および所得水準の向上です。高度な診断技術の利用は、獣医師がより良い診断と治療を提供するのに役立ち、ひいては世界中の獣医診断市場全体を牽引することが期待されます。また、継続的な技術革新により、市場参加者は長期的な競争優位性を獲得し、獣医診断市場における地位をさらに強化することができます。

牽引要因:疾病管理および疾病予防対策の増加

過去に疫病が発生したことにより、病気の再出現に対する警戒が高まっています。2011年、リンデルペスト(リンデルペスト・モルビリウイルスが原因)は、国連FAOと世界動物衛生機関(OIE)によって根絶が宣言されました。しかし、両機関は、その再発生に警戒を怠らないよう各国に呼びかけています。世界牛疫行動計画には、緊急時に役立つ診断ツールの最適化が盛り込まれており、予防措置として常時診断チェックを行うことになっています。

さらに、米国疾病対策予防センター(CDC)によると、2019年には、8つの大きな人獣共通感染症の発生が報告されています。毎年、何千人もの米国人が、動物と人の間で広がる病気に侵されています。人の病気の10件に6件は人獣共通感染症であり、これらの病気を予防・対応するため、各国が能力を強化することが極めて重要になっています。このため、家畜を中心とした動物の健康を監視する必要性が高まっています。動物疾病の蔓延と発生率の増加により、疾病の検出、監視、発生抑制のための革新的な診断製品の需要が高まることが予想されます。高度な診断技術の利用が可能になれば、獣医師がより良い診断と治療を提供できるようになり、世界の獣医診断市場全体を牽引するものと期待されます。また、継続的な研究、技術革新、啓蒙活動により、市場参加者は長期的な競争優位性を獲得し、獣医診断市場における地位を強化することができます。

抑制要因:獣医診断の検査コストの高さ

高度診断の高コストが、獣医診断の採用を妨げる大きな障壁となっています。CDCによると、2019年、米国における狂犬病の診断、予防、制御に関する公衆衛生費は、年間2億4500万米ドルから5億1000万米ドルと推定されます。この推定値は、犬・猫など、コンパニオンアニマルのワクチン接種、国の狂犬病診断検査、狂犬病曝露後予防(PEP)および曝露前予防(PreEP)用の生物製剤費用に関する入手可能なデータに基づいています。しかし、狂犬病に関する医療費と動物管理対策を含む総支出は、もっと大きいと思われます。

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