放射線治療の市場規模、2027年に81億米ドル到達予測

放射線治療の市場規模は、2022年の63億米ドルからCAGR5.1%で成長し、2027年には81億米ドルに達すると予測されています。放射線治療における技術の進歩と、がんの発生率の上昇が、同市場の成長を促進する主な要因です。また、放射線治療の利点に対する認識が高まっていることや、がん治療における粒子線治療の利用が増加していることが、市場成長を後押しする要因となっています。しかし、新興国を中心とした医療インフラの不備や、熟練した腫瘍医・放射線科医の不足が、この市場の成長を妨げています。さらに、放射線治療装置の高コスト、放射線治療に関する複雑性が、今後の市場成長を抑制すると思われます。

牽引要因:放射線治療の利点に関する意識向上

放射線治療の利点に牽引され、近年、会議やシンポジウムなどの多くのイニシアチブが開催されています。このようなイベントでは、さまざまながんに対して放射線治療がもたらす利点や治療効果についての認識を広めることに重点が置かれています。例えば、2022年9月にはポルトガルで第6回がん世界会議が開催される予定です。この会議のテーマは、”Personalized Cancer Diagnosis and Therapy”(個別化されたがんの診断と治療)です。

放射線治療に関連するイベントは、腫瘍学者や放射線技師に放射線治療手順の認知度を広め、トレーニングの機会を与えるために開催されており、利用可能な放射線治療法とその利点についての認識を高める上で不可欠な役割を果たしています。同時に、放射線治療装置の需要と採用を後押しすることが予想されます。

抑制要因:熟練した腫瘍医や放射線技師の不足

放射線治療市場では、機器をより正確かつ特異的に使用するため、継続的な技術革新を続けてきました。しかし、放射線治療は、専門家でなければ高水準を達成し維持することができない臨床治療法です。そのため、高度な放射線治療の実施は、訓練を受けた人材の不足と技術的専門知識の欠如によって妨げられることが予想され、多くのがん患者が、効果的で高度な放射線治療を受けられないことになります。このマイナスの影響は、発展途上国や低開発国においてより高くなります。

米国臨床腫瘍医学会(ASCO)によると、2021年に米国で活発な患者ケアに従事している腫瘍医は1万3,146人でした。腫瘍医が多く存在する都市がある一方で、3200万人のアメリカ人が腫瘍医のいない郡に住んでいます。ASCOは、2025年までに2,200人以上の腫瘍医が不足すると予測しています。この腫瘍学者と放射線科医の不足が、腫瘍学的処置の採用に影響を及ぼすことが予想されます。

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