特殊酵母の市場規模、2027年に46億米ドル到達予測

特殊酵母の市場規模は、2022年の32億米ドルからCAGR7.0%で成長し、2027年には46億米ドルに達すると予測されています。特殊酵母は、食品や飼料の栄養価を高め、強い味と風味を提供する天然素材で、食品・飲料業界における多くの用途に対応するほか、栄養価や抗酸化性といった健康上の利点が認識されていることから、消費者の間でますます人気が高まっています。

牽引要因:食品・飲料用途における特殊酵母原料の需要増

酵母エキス、酵母自己融解物、酵母誘導体などの特殊酵母製品は、風味を向上させる特性から食品・飲料製品に使用されています。酵母エキスの特徴的な香味が他の酵母製品との差別化を図り、業界における特殊酵母の需要増加に繋がっています。

アルコール飲料の消費量の増加は、特殊酵母市場を牽引する主な要因の1つです。ワインやビールなどのアルコール飲料の世界的な消費量はここ数年で増加しています。酵母はその製造に不可欠な原料であり、ワインやビールのプレミアム製品への需要の高まりは、特殊酵母市場を活性化しています。

抑制要因:厳しい食品安全規制

アジア諸国では、紅麹米はさまざまな菌株の入ったベニコウジカメで栽培することによって作られます。この米製品には、コレステロール低下剤であるロバスタチンに類似した化学成分であるモナコリンKが相当量含まれています。米国食品医薬品局(FDA)によると、紅麹の中には、腎不全を引き起こす可能性のあるシトリニンという汚染物質が含まれているものもあり、栄養補助食品として合法的に販売することはできません。サプリメントとして提供する場合には、消費者への情報提供が必要となり欧州諸国では、製品表示に関する規則は非常に厳しくなっています。

米国心臓協会は、安全性に関する研究結果が出るまでは、紅麹を使用しないよう警告しており、この種の酵母の生産者にとって、食品成分として販売することは困難と言えます。

市場機会:先進国でのクリーンラベル製品に対する需要の高まり

特殊酵母は、食品中のグルタミン酸や塩分の含有量を減らすためにMSG(グルタミン酸ナトリウム)などの合成香料に取って代わり、急速に成長している食品素材のひとつです。過去10年間の、低塩および無MSG食品に対する需要の増加が、酵母原料市場を牽引しています。この傾向は、消費者の健康意識と食品安全保障の需要によって増加しており、特殊な酵母成分が非常に低塩の条件下で良好な風味を維持できるという事実からも明らかです。食品風味物質の属性として、酵母エキスは加工食品の塩やMSGに取って代わろうとしています。

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