DRaaS(サービスとしての災害復旧)の市場規模、2027年に235億米ドル到達予測
DRaaS(サービスとしての災害復旧)の市場規模は、2022年の88億米ドルからCAGR21.6%で成長し、2027年には235億米ドルに達すると予測されています。事業継続の必要性が高まっていることが、市場成長の主な要因の1つとなっています。さらに、総所有コストを削減し、RTOとRPOを最小化する必要性が、DRaaSソリューションの採用を後押ししています。
COVID-19のDRaaS市場への影響
COVID-19がDRaaS市場に与えた影響は、さまざまな業種の大企業や中小企業にも及んでいます。
従量課金モデルを採用したクラウドサービスの収益が減少しています。一方、プラスの影響としては、クラウドインフラサービスに対する需要の持続的な伸びと、CRM、エンタープライズコラボレーション/UCaaSツール、その他の生産性や事業継続ツールなど、特殊なSaaSへの支出の増加が挙げられます。
欧州の多くの新興企業は、パンデミック状況下で、クラウドの力を借りる事で、困っている人々を助けています。例えば、アイスランドのデジタル・セラピューティクス新興企業であるSidekick Healthは、国の医療システムのためにCOVID-19トラッカーアプリを構築しました。また、エストニアのデジタルヘルス新興企業であるVelmioは、COVID-19トラッカーアプリを構築して研究者とデータの共有を計画しています。
アジア太平洋地域では、IT & ITeS、BFSI、政府・公共部門など、在宅勤務の取り組みが企業の業務機能の維持に役立つことで、クラウド技術の採用の進展に期待が寄せられています。
中東・アフリカ地域では、原油価格の下落やCOVID-19の影響により、経済、健康面での危機に見舞われています。一方、政府や企業の取り組みが、この地域におけるクラウドサービスの導入につながり、テクノロジー分野におけるチャンスを生んでいます。
牽引要因:中小企業の事業継続の必要性
中小企業は、コスト効率、柔軟性、拡張性、自動化されたDRサービスを必要としており、これはカスタマイズされたDRaaSソリューションによって実現することができます。従来の災害復旧ソリューションは、十分な時間、技術者、莫大な資金を必要としまが、DRaaSモデルでは、使用量に応じた料金のみを支払うことで導入が可能になりました。DRaaSは簡単なセットアップで、遠隔地からデータにアクセスできるようになったことで、低コストで要件を満たすことができるため、中小企業の間で人気を博しています。
抑制要因:クラウドベースのDRを採用することに消極的な企業の存在
多くの企業は、最新のテクノロジーよりも従来の手法を依然として好んでいます。企業がクラウドやクラウドベースのDRaaSの導入に消極的なのには、いくつかの理由があり、データセキュリティに対する懸念、認識不足、予算の制約、確立された既存のディザスタリカバリ手法を変えることへの抵抗などが挙げられます。さらに、クラウド環境に関する認識不足も、DRaaSソリューションの採用が進まない主な原因となっています。