核酸分離精製の市場規模、2027年に92億米ドル到達予測

核酸分離精製の市場規模は、2022年の63億米ドルからCAGR7.9%で成長し、2027年には92億米ドルに達すると予測されています。同市場の成長は、研究開発活動の増加と、技術の進歩や自動化の進展が主な要因として挙げられます。新興国、規制および償還シナリオの改善、分子診断および個別化医療の採用拡大により、市場のプレイヤーに幅広い成長機会が提供されることが期待されます。一方、自動化機器のコストが高いことが市場成長の妨げになると予想されます。

将来の伝染病の影響を軽減するための、連携や協力の必要性が高まっており、世界各国で研究が進められています。例えば、米国国立衛生研究所（National Institutes of Health）は、健康のための改革に年間400億米ドルを投資しており、COVID- 19の研究にさらに数十億米ドルを費やすと予想されています。同様に、英国政府は今後研究開発費を増やし、2024-25 年までには 288億2,000万米ドルを目指すことを決定しています。中国、インドなどのアジア諸国も、医療・製薬分野への投資を増やしています。

COVID-19の核酸分離精製市場における影響

COVID-19の発生により、関連する疾患の検査や薬剤研究が大幅に増加しています。この分野では、感染の動態をより深く理解するための研究が進められており、核酸分離精製分野の推進が期待されています。一方、COVID-19の診断薬や分子検査は、個別化医療とともに、今後5年間は安定した成長を遂げると推測されます。患者のケアを導き、公衆衛生を守るために、全国の検査室や病院などで、コロナウイルス診断検査やワクチン・薬剤開発への手段を講じるメーカーが急速に増えています。

コロナウイルスの蔓延により、診断キットやその他のクリティカルケア医療機器の需要は過去2年間で急激な伸びを示しました。2020-2021年、世界中の医療提供施設は、COVID-19スクリーニングおよび治療のための患者に圧倒されました。この結果、入院患者治療施設内の臨床ワークフローに深刻な混乱が生じ、重要な患者治療処置の優先順位付けにつながりました。

一方、感染患者に対応するために必要な医療用品の製造・供給の増加のために、政府および企業の投資は大幅に増加しました。このため、業界のさまざまな関係者が、既存の製造能力とサプライチェーンを強化する必要に迫られています。ライフサイエンス業界は、多国籍企業や中小企業とともに、この需要に応え、検査を可能にするために24時間体制で取り組んでいます。

牽引要因：ゲノム分野での研究開発活動の高まり

核酸分離精製市場は、研究主導型の分野です。製薬会社やバイオテクノロジー会社は、ライフサイエンス産業に不可欠な存在であり、ヘルスケア分野におけるニーズの高まりに対応するため、分子開発関連の研究に多額の投資を行っています。さらに、差し迫った特許期限によって、バイオ製薬会社の研究活動も活発化しています。キット・試薬・機器市場で事業を展開する企業も、製薬・バイオテクノロジー業界の研究要件を満たす革新的な製品を開発するために、研究開発投資を増やしています。