修復歯科の市場規模、2027年に222億米ドル到達予測

修復歯科の市場規模は、2022年の165億米ドルからCAGR6.1%で成長し、2027年には222億米ドルに達すると予測されています。2021年の修復歯科市場は、欧州が最大のシェアを占め、次いで北米が続いています。高齢者人口の増加、口腔医療に対する政府支出の増加、高度に発達した医療制度と相当数の市場プレーヤーが、欧州市場の成長を促進する主な要因となっています。

COVID-19の修復歯科市場への影響

COVID-19パンデミックは、世界的な医療危機を招き、2020年1月以降、広範囲な経済的影響をもたらしています。2020年第1四半期には、多くの歯科医院や病院がウイルスの蔓延を抑えるために限られた能力で機能していました。同時に、患者の大半が歯科医院への受診を延期し、米国では歯科医院の収益が最大で80~90%減少しました。このため、歯科用印象システム市場にも悪影響が及んでいます。

COVID-19の影響により、主要な市場参加者の売上高と営業利益は減少しています。また、生産管理の厳格化により、在庫が減少しています。2020年第3四半期には世界各地で歯科医院の活動が再開され、修復歯科市場でも緩やかな需要拡大が見込まれています。2020年8-9月期には、北米と欧州の修復歯科市場は高い回復を見せましたが、APAC(アジア太平洋)市場では、中国や韓国を中心に苦戦を強いられています。その後は、歯科用印象システム市場の成長要因が健在であることから、市場は完全に回復すると予想されます。歯科販売代理店の設立、歯科病院・診療所・技工所の急速なデジタル化、歯科医院・診療所の拡大などが市場の成長を支えています。

牽引要因:新興国におけるデンタルツーリズムの市場拡大

デンタルツーリズムは、メディカルツーリズム産業の中でも最も収益性の高い分野で、目的地として急成長している、インド、メキシコ、ハンガリー、ポーランド、トルコなどの新興国でここ数年飛躍的な成長を遂げています。同市場の成長は、これらの国々の歯科治療の低価格に起因しています。例えば、クラウンは米国で2,000ドル、英国で1,000ドルかかるのに対し、フィリピンでは100ドル、インドでは300ドル、メキシコでは400ドルとなっています。また、デンタルツーリズムは待ち時間が短いことで、コスト面でも大きなメリットがあります。

価格はデンタルツーリズム市場の成長を促す重要な要因です。デンタルツアーパッケージは、毎年多くの歯科目的の観光客を魅了しています。歯科治療とツアーパッケージの費用をカバーした新興国でのトータルの費用は、米国や英国での歯科治療単独の費用よりも低額です。

歯科治療費が高い地域から、アジア、ラテンアメリカ、東欧など、治療費の安い地域へ旅行する患者の数は、今後数年間で増加すると予想されます。患者が移動する距離も、その国のデンタルツーリズム産業の成長に大きな役割を果たします。治療先を選ぶ際には、旅費も考慮する必要があります。タイ、マレーシア、ハンガリーなど多くの国では、必要な歯科治療と休暇をセットにしたデンタルツアーを提供しており、先進国から多くの患者を集めています。

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