極低温機器の市場規模、2027年に174億米ドル到達予測

極低温機器の市場規模は、2022年の125億米ドルからCAGR6.8%で成長し、2027年には174億米ドルに達すると予測されています。極低温機器市場の成長要因は、冶金、エネルギー・電力産業からの産業ガス需要の高さ、LNGバリューチェーン全体における極低温機器需要の拡大が挙げられます。

COVID-19による極低温機器市場への影響

2022年3月10日現在、220カ国がパンデミックの影響を受けており、その初期段階において、各国政府はウイルスの蔓延を抑えるために全国的にロックダウンや外出禁止を命じました。その結果、輸送や関連する活動が大幅に減少し、石油・ガス産業、ひいては極低温機器の需要に悪影響を及ぼしました。しかし、近年の感染者数の減少やワクチンの開発により、これらの閉鎖は解除されています。これらの事象は、産業のバリューチェーン全体に大きな混乱を引き起こし、その結果、極低温機器の需要を抑制しています。一方、パンデミック時に医療産業で重要な役割を果たしたのが極低温機器であり、高い需要を示しました。ヘルスケア産業では、主に気体として使用される酸素は、通常、液体として保存されます。液体酸素療法は、パンデミック時に感染した患者を治療するために不可欠な処置となり、極低温容器やタンクの需要が急増し、供給が追いつかなくなる事態が発生しました。その後、極低温冷凍装置の供給不足は、インドなどの新興国を中心に、ヘルスケア産業に大きな混乱をもたらすこととなりました。

牽引要因:LNGバリューチェーン全体における極低温機器の需要拡大

2020年は、LNG市場にとって前例のない年となりました。COVID-19パンデミック以前から、LNG市場は2020年と2021年に供給過剰となっており、パンデミックによるガス需要の減少がこれに拍車をかけ、市場の乱高下を招きました。しかし、その後、ガス市場における国内供給が需要増により追いつかないこととなり、LNGはより強い成長を遂げました。マッキンゼーの世界ガス見通しによると、LNGの需要は2035年まで年率3.4%で増加し、1億トン程度の追加生産能力が必要になると考えられています。

抑制要因:極低温機器の高いCAPEX(設備投資)およびOPEX(運用コスト)

極低温機器の建設には特殊性の高い材料が使用され、温度維持のためのエネルギーコストも高いため、総コストが非常に高額になります。米国内務省(DOI)によると、極低温プラントのインフラ設定に伴う初期CAPEXは約3億米ドルと推定されています。

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