ヒトマイクロバイオームの市場規模、2029年に13億7,000万米ドル到達予測

ヒトマイクロバイオームの市場規模は、2023年の2億6,900万米ドルからCAGR31.1%で成長し、2029年には13億7,000万米ドルに達すると予測されています。市場の成長の主な要因は、ヒトマイクロバイオーム療法の開発に注目が集まっていることと、医薬品開発の有効なターゲットになっていることが挙げられます。また、市場関係者の共同研究の増加も、今後、幅広い成長機会を提供すると期待されています。一方、ヒトマイクロバイオームに関する専門知識の不足や不十分な研究は、同市場の成長の抑制要因になると考えられます。

COVID-19のヒトマイクロバイオーム市場における影響

COVID-19の流行により、世界中の臨床試験研究に大規模な混乱が生じました。生活の他の側面と同様に、効果的で安全な試験能力に深刻な影響が及んでいます。このことは、COVID-19への曝露によるリスクが最も高い人々を対象とする臨床試験が多いことを考慮すると、特に顕著です。Seres Therapeutics社のSER-287開発活動は、COVID-19の大流行と、複数の臨床施設が内視鏡検査を含む不要不急の処置を停止したことにより、悪影響を受けました。同様に、COVID-19は、微生物を利用した治療薬や診断薬の前臨床試験や臨床試験など、他社の事業活動にも悪影響を及ぼしています。しかし、パンデミックに関連する政府の規制が緩和され、バーチャル臨床試験の出現により、2021年以降、研究開発活動は回復に向かいました。

牽引要因:ヒトマイクロバイオーム治療薬開発

ヒトマイクロバイオームは、治療用化合物の効能を向上させる上で大きな役割を果たします。長年にわたる研究により、人体内の微生物の適切な組み合わせが、さまざまな症状の治療に有益であることが明らかになっています。このように微生物と特定の疾患状態との関連は、医薬品開発者、あるいはワクチン製造者にとって新たな機会を生み出す可能性があります。微生物は酵素を豊富に含んでいるため、新規治療法の探索など、さまざまな治療応用が可能です。

この10年間で、マイクロバイオーム療法は広く重要視されるようになりました。米国国立衛生研究所(NIH)は、10年間(2007~2016年度)、ヒトマイクロバイオームプロジェクト(HMP)に2億1500万米ドル、HMP以外の学外ヒトマイクロバイオーム研究活動に、2012~2016年の間7億2800万米ドルを投じています。同様に、欧州委員会は、腸内細菌に焦点を当てたMetaHIT(Metagenomics of the Human Intestinal Tract)プロジェクトを立ち上げました。2008年から2012年にかけて、このプロジェクトに1,500万米ドルが投資されています。さらに、2012年から2018年にかけては、MetaCardis(Metagenomics in Cardiometabolic Diseases)に1400万米ドルが投資されました。これは、心臓代謝疾患(CMD)における腸内細菌の役割を調査したEUが出資する主要研究プロジェクトです。同様に、Horizon 2020は、2014年から7年間で約9,690万米ドルの資金が利用できるEU最大の研究・イノベーションプログラムの1つです。

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