軟部組織修復の市場規模、2027年に172億米ドル到達予測

軟部組織修復の市場規模は、2022年の136億米ドルからCAGR4.7%で成長し、2027年には172億米ドルに達すると予測しています。同市場の成長は、高齢化と肥満率の増加、スポーツ障害の増加、先進技術製品の発売につながる研究開発への強い関心、手術量の増加、重度の外傷の有病率の増加によってもたらされています。このため、償還条件が不利であること、軟組織修復製品の価格が高いこと、外科手術の費用が上昇していることなどが、市場の成長を抑制する主な要因となっています。軟部組織修復市場は、製品、用途、エンドユーザー、地域別に分類されます。

COVID-19が軟部組織修復市場に与える影響

COVID-19の発生により、医療機器市場全体の60~75%を占める画像診断機器、歯科治療機器、手術用製品などの医療機器業界の主要シェアは、2020年と2021年前半に成長率の大幅な減少を目の当たりにしました。一方、クリティカルケア医療機器を含む医療機器業界では、新たに50~70億米ドルの市場機会(2021年後半まで)が生まれています。

COVID-19の増加により選択的手術の実施総数が大幅に減少したことで、軟部組織修復製品の需要は2020年に急減しました。COVID-19の第2波は、選択的外科手術の優先順位をさらに下げています。

また、現在のパンデミック状況において、外科手術は減少しており、その回復は、米国などで2021年第3四半以降になると予想されています。EUの一部の国では外科手術を再開しており、地域の軟組織製品の需要を高めています。

Smith & Nephewは、2020年度のスポーツ医学部門(軟組織修復用製品を提供)の売上高が2019年度と比較して13.1%減少したと発表しました。同様に、Johnson & Johnsonは、2020年度の外科分野の売上高成長率が13.4%減少したと報告しています。

世界市場の成長を形成する上での重要な役割

2021年6月10日現在、米国だけでなく世界数カ国でロックダウンが解除されており、市場の緩やかな回復に寄与すると予想されます。また、病院が待機的な手術を再優先するようになれば、市場成長の再開が期待できます。さらに、ワクチン接種の推進やCOVID-19の感染拡大の抑制が進んでいることから、今後、市場は正常化するとみられています。

牽引要因:高齢化社会と肥満率の増加

加齢に伴う生理的変化や代謝不良は、しばしば嚢胞性線維症、肝炎、心血管障害、癌などの慢性疾患を引き起こします。高齢者は、さまざまな軟部組織の損傷にかかりやすく、例えば、英国での登録研究によると、ヘルニアの有病率は25~34歳で5%、35~44歳で10%、45~54歳で18%、55~64歳で24%、65~74歳で31%、75歳以上の男性では45%と年齢とともに増加します。Advances in Orthopedic Surgery誌に掲載された論文によると、60歳以上の人の40%以上が腱板断裂を患っているとされています。

世界では、2020年に65歳以上の高齢者が9億人いると言われています。今後30年間で、世界の高齢者数は2倍以上に増え、2050年には20億人を超えると予測されています。2020年から2050年にかけて、すべての地域で高齢者人口が増加することになり、世界的に65歳以上人口の割合は、2020年の9.3%から2050年には約16.0%に増加すると予想されています。

FDAによると、米国では毎年100万件以上のヘルニア手術が行われており、約80万件が鼠径ヘルニア、残りはその他のヘルニアと言われています。同様の傾向は、他の先進国や発展途上国でも見受けられます。このように、高齢化社会の進展に加え、可処分所得の増加や一人当たりの医療費の増加が、今後の軟部組織修復手術の需要を牽引すると思われます。

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