消化管ステントの市場規模、2026年に6億米ドル到達予想

消化管(GI)ステントの市場規模は、2021年の4億5700万米ドルからCAGR5.6%で成長し、2026年には6億米ドルに達すると予想されています。消化管ステントは、消化管の閉塞を引き起こす疾患の緩和治療を目的としており、消化管腫瘍の再疎通や術後のリークシールに大きな役割を果たします。その他にも、薬剤溶出デバイス、良性疾患の組織モデリング、GI管のドレナージおよび吻合などの用途が考えられます。消化管ステント市場の成長は、消化管癌やその他の消化器系疾患の有病率の上昇、ライフスタイルの変化、消化管処置に対する医療費の増加、低侵襲手術への嗜好の高まりなどに起因しています。

COVID-19の消化管ステント市場への影響

COVID-19発生時には、多くの国で対面診療が制限されました。そのため、病院や外来でのステント留置術が減少し、電話相談を中心としたテレヘルステントによる診察が行われるようになりました。このことが、多くの医療現場における消化管ステントの普及率に影響を与えています。例えば、中国消化器内視鏡学会(CSDE)が実施した調査によると、中国におけるGI内視鏡手術の件数は、2019年の320万件から2020年の150万件へと半減しました。その後、2021年初頭には、ほぼすべての医療機器市場で、機器販売の落ち込みの回復が見受けられました。しかし、オミクロン・バリアントの出現で、医療機器の売上は脅かされ、選択的処置の再度キャンセルを誘発する可能性があります。一方、世界的なワクチン接種競争の継続と、ブースターショットの投与により、今後数年間で市場は回復すると考えられます。

牽引要因:消化器癌、IBD(炎症性腸疾患)、など、消化器系疾患の発生率の上昇

消化器癌は、世界的な主要の死亡原因の一つです。ここ数年、食道癌、大腸癌、消化器関連疾患などの慢性疾患による罹患率や死亡率が急上昇しています。国際がん研究機関(IARC)によると、2018年、消化器系のがんは、世界のがん罹患負担の26%、がん関連死亡者の35%を占めました。

WHOによると、大腸がんなどの消化器系がんは、2020年に93万5,000人の死亡原因となり、胃がんは76万9,000人の死亡原因となっています。大腸がんは世界で3番目に多いがんで、2020年には193万人が新たに診断されました。

抑制要因:高額な処置費用と発展途上国での保険償還の制限

近年、世界的に医療費が増加しており、GIステントを含む医療機器の価格も上昇しています。PubMed.govの2021年5月の発表によると、内視鏡ステント留置術の平均価格は約4万3,798米ドルと報告されました。インドやブラジルなどの発展途上国の医療従事者や支払者は、このような高額な処置に投資する財源があまりありません。

また、アジアのほとんどの国では、内視鏡的ステント留置術に対する政府の償還が限定的、あるいは全くありません。インドをはじめとする発展途上国では、このような高額な費用と償還制度の欠如により、消化管ステント関連処置の採用が制限されています。

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