吸引・生検針の市場規模、2027年に13億300万米ドル到達予測

吸引・生検針の市場規模は、2021年に8億7,900万米ドルからCAGR6.8%で成長し、2027年には13億300万米ドルに達すると予測されています。吸引・生検針市場の成長を促す主な要因としては、がんの有病率の上昇、政府や国際的な医療機関による取り組み、低侵襲手術への嗜好の高まりなどが挙げられます。

COVID-19の吸引・生検針市場への影響

COVID-19パンデミックにより、がん検診、がん管理のための来院や、がん生検の処置が大幅に減少しました。さらにロックダウンの結果、がん検診サービスが中断され、生検針の需要が低下しています。COVID-19によるがん発見の遅れの影響は、英国で行われた研究で調査され、2021年3月にLancet Oncology誌に掲載されました。この研究は、乳がん、大腸がん、食道がん、肺がんの患者10万人以上のデータを対象としており、COVID-19の発生により、診断のための生検が減少し、スクリーニングサービスが利用できなくなることで、1年および5年のがん生存率が著しく低下することがわかりました。その後、米国の医師の報告では、2020年の最後の四半期にスクリーニングの予約数の増加が確認されており、今後もその数は増えることが予想されています。

COVID-19により、2020年3月以降、画像診断の処置が大幅に減少しました。2020年後半に画像処理のスループットの遅い復活が観察されましたが、全体のスループットは1年を通してベースラインの約80％のレベルにとどまりました。2020年4月、米国FDAは、患者、医療従事者、医療技術管理者（HTM）がCOVID-19にさらされる可能性のある状況を緩和しつつ、針生検を行うために使用される医療用X線、超音波、MRIシステム、画像解析ソフトウェアの可用性と能力を拡大するため、ガイダンスを発行しました。

推進要因：癌の罹患率の上昇

世界的に癌の罹患者数は著しく増加しています。これは、ライフスタイルの変化や不健康な食生活、タバコの消費量の増加など、さまざまな要因によるものです。国際がん研究機関（IARC）の推計によると、2018年の世界の新規がん罹患者数は1,700万人、がん死亡者数は950万人でした。2040年には、主に人口の増加と高齢化により、新たながん患者数が2,750万人、がん死亡者数が1,630万人に増加すると予想されています。

がんの罹患率は先進地域で最も高く、低開発国では治療施設へのアクセスや早期発見のメリットに関する認識が不十分なため、死亡率が相対的に高くなっています。米国がん協会によると、毎年約960万人ががんで死亡しており、がん死亡者の70％は中国やインドなどの低・中所得国で発生しています。この割合は2025年までにさらに増加すると予想されています。世界の主要地域でがんの罹患率が上昇していることから、効果的ながん診断に対する需要が今後数年間で増加すると予想され、今後の吸引・生検針市場の成長を支えると考えられます。