ラボ用冷凍庫の市場規模、2026年に57億米ドル到達予測
ラボ用冷凍庫の市場規模は、2022年の47億米ドルからCAGR4.9%で成長し、2026年には57億米ドルに達すると予測されています。同市場の成長は、輸血用もしくは、がん治療のサポート用血液や血液成分の需要が増加していることに起因しています。また、ラボ用冷凍庫の技術的進歩も同市場の成長を後押ししています。
ラボ用冷凍庫市場は、COVID-19ワクチンの適切な温度管理下での保管に有用であることから、2020年と2021年に需要が大幅に増加しています。一方で、再生されたラボ用冷凍庫や冷蔵庫の使用が増加していることが、同市場の成長を抑制する可能性があります。
COVID-19がラボ用冷凍庫市場に与える影響
COVID-19のラボ用冷凍庫市場へのプラスの影響は長期的に続く可能性があると想定される。COVID-19の予防接種が追加のブースター投与を必要としないとしても、ラボ用冷凍庫・冷蔵庫の需要は安定して成長すると予測されます。これは、投資の拡大によるワクチン試験の増加、臓器移植などの外科手術の増加、世界的な献血の増加などが要因と考えられます。
牽引要因:輸血およびがん治療支援用需要の増加
世界的に血液および血液成分の需要が増加しています。米国赤十字社によると、米国では毎年約2,100万人分の血液が輸血されています。また、米国がん協会によると、2020年は推定180万人の新規がん患者が米国で発生したと言われています。血液や血液成分の必要性が高いのは、がんの手術を受ける患者だけでなく、白血病やリンパ腫などの血液がんの罹患者に対しても同様です。さらに、献血は世界的に増加しており、WHOは2013年から2018年にかけて、自発的な無報酬のドナーからの献血が780万件増加したと報告しています。このような血液および血液製品の需要の増加と、世界的な献血の増加により、血液の保管に使うラボ用冷凍機・冷蔵庫の需要が増加しています。
抑制要因:ラボ用冷凍庫の再生品の使用増加
病院、研究所、血液銀行では、生物医学サンプルの低温保存のための設備投資が非常に高額になります。超低温冷凍庫の平均価格は10,000~25,000米ドルであり、小規模な血液銀行、病院、研究所にとっては高価な商品です。医療機器の再生品は、一般的に新品の機器に比べて50〜60%安い価格で入手できます。多くの新興国や低開発国では、インフラ整備のための公的医療費が不十分であるため、これらの国の医療システムでは高度な医療機器の導入が制限されています。こういった理由から、ラボ用冷凍・冷蔵庫における再生品への需要が、今後の同市場の成長を抑制すると思われます。