自動車用固体電池の市場規模、2030年に66万1,724台到達予測

自動車用固体電池の市場規模は、2025年の2万7,070台からCAGR89.5%で成長し、2030年には66万1,724台に達すると予測されています。これは、世界的な電気自動車の需要や、リチウムイオン電池と比較して自動車用固体電池の容量の大きさ、走行距離の伸びなどにより牽引されています。また、電気自動車を利用した長距離通勤への関心の高さも、市場を押し上げる要因となっています。

COVID-19が自動車用固体電池市場に与える影響

COVID-19が同市場に与えた影響は最小限で済みました。その大半は、ロックダウンの最初の段階での、研究開発の遅れでした。また、パンデミック下では各国のEV需要も高まったことから、自動車用固体電池市場全体での大きな影響はないと予想されます。パンデミック後も、市場は順調に成長し、物的・金銭的な損失はないと考えられます。

牽引要因:固体電池の高容量化によるEV走行距離の延長

EVユーザーにとって、1回の充電で走行できる距離が短いことは大きな問題です。このことは、EV市場の成長を妨げる大きな要因となっています。固体電池を搭載したEVは、従来のリチウムイオン電池を搭載したEVに比べて、電池密度が高いため、航続距離が大幅に伸びることが期待されます。固体電池は、理論上、リチウムイオン電池の2倍のエネルギーを蓄えることができます。そのため、EVのトップメーカーがこぞってこの技術に投資しています。業界の専門家によれば、固体電池を搭載したEVの航続距離は約600マイル以上になると報告されています。

抑制要因:従来のEV用電池と比較した場合の高コスト

リチウムイオン電池の価格は、過去12年間で89%も下落しています。2010年には、リチウムイオン電池の価格は約1,100米ドル/kWhでしたが、2020年には約137米ドル/kWhに達しています。多くの業界専門家によると、リチウムイオン電池の価格は、2030年には約60米ドル/kWhになると予想されています。2021年にテスラ社は、今後2~3年の間にリチウムイオンEV電池の価格を大幅に引き下げる計画を発表しました。一方、固体電池は同時期までに約80~90米ドル/kWhになると予想されています。この結果、固体電池が量産される頃には、ハイエンドEVのほとんどが固体電池を採用し、ローエンドEVメーカーはリチウムイオン電池を使用することが予想されます。今後、固体電池の価格がリチウムイオン電池と同程度に下がることで、固体電池の需要が高まり、市場が急速に拡大すると予想されています。

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