MDI・TDI・ポリウレタンの市場規模、2026年に1053億米ドル到達予測

MDI・TDI・ポリウレタンの市場規模は、2021年の779億米ドルからCAGR6.2%で成長し、2026年には1053億米ドルに達すると予測されています。この市場は主に、硬質発泡体、軟質発泡体、塗料・コーティング、エラストマー、接着剤・シーラントなどの用途におけるMDI・TDI・ポリウレタンの需要によって牽引されています。エネルギー規制への対応、環境維持の必要性、汎用性とユニークな特性などの要因が、MDI・TDI・ポリウレタン市場を牽引しています。同市場の主要地域は、APAC(アジア太平洋地域)で、欧州と北米がそれに続きます。

COVID-19の合成皮革市場への影響

COVID-19パンデミックは、世界のほぼすべての分野に影響を与えています。MDI・TDI・ポリウレタン市場は、サプライチェーンの混乱によりマイナスの影響を受けることが予想されます。同市場は、建築・建設、自動車、消費財産業に大きく依存しています。中国は、電子部品や建築の主要市場です。2020年第1四半期は、COVID-19の発生により、建設機械の需要が大幅に減少しました。また、中国はポリウレタンの最大生産国でもあります。しかし、原材料の供給が混乱し、ポリウレタン生産事業は弱体化しています。

欧州におけるポリウレタン軟質フォームの生産は、需要不足、政府の決定、労働力の減少などにより、2020年前半に落ち込みを見せました。自動車業界向けに生産している欧州のフォーム工場はすべて閉鎖され、その他の地域でも生産量が大幅に減少しました。最も需要があるネット販売用商品や医療用マットレスでさえ、失われた生産量を埋めるには程遠い状況です。

牽引要因:エネルギー規制への対応

MDIベースのポリウレタン断熱材は、最も効果的な断熱素材であり、省エネにも大きく貢献しています。硬質断熱フォームは、住宅、商業施設、レジャー施設などの建設物のほか、冷蔵庫や業務用冷凍庫など家電製品にも幅広く使用されています。MDIをベースにしたポリウレタンフォームの使用増加は、リサイクル可能で環境にやさしいという特性によって後押しされています。また、ポリウレタンは冷蔵庫の省エネ化に大きく貢献しており、今日ではほとんどの冷蔵庫に使用されています。

抑制要因:毒性と環境への配慮

イソシアネートは毒性が高く危険であるだけでなく、ポリウレタンを化石燃料に大きく依存させる結果となります。このことは、化石燃料への依存度を下げて環境への影響を低減し、事業継続を目指す市場参加者にとって、深刻な問題となっています。MDIの過剰な暴露は、皮膚障害や病気を引き起こす可能性があります。EPA(米国環境保護庁)によると、スプレーコーティングや加熱工程などでイソシアネートにさらされる作業者は、喘息を発症する可能性が高いと言われています。

市場機会:ホスゲンフリーのMDI製造

ホスゲンは、MDI・TDI・ポリウレタンなどのジイソシアネートを製造するための主要な原料です。ホスゲンは有毒で反応性の高いガスであり、第一次世界大戦では化学兵器として採用されており、その使用には大きな議論を呼んでいます。ホスゲンの毒性に関する懸念から、市場関係者は代替技術を探す努力が強いられています。

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