家庭用DNA検査キット市場、2028年までに100億米ドル規模超過見込み

市場の概要および動向

過去数十年間、遺伝学の分野は急速な進化を遂げ、最終的にDNA検査の開発につながりました。最近では、医療従事者の処方箋なしに自宅で検査ができる家庭用DNA検査キットが市場で販売されています。家庭用DNA検査キットの登場は、人々に利便性及び生活の質の向上をもたらしました。公的あるいは民間の医療資源が不足しているときに、同製品を利用することで疾患の迅速な診断が可能になります。現在までに、いくつかの家庭用DNA検査キットが世界市場に登場し、遺伝性疾患のリスク分析、個人の健康状態、家系、食事、栄養、子育てなど、さまざまな事項に関する検査結果を提供しています。

がんは、世界中の人々に大きな影響を及ぼしています。がんは世界的に主要な死因の一つとなっており、先進国や新興国市場においてより一般的となっています。用途別では、がん診断用が市場で大きなシェアを占めています。老年人口の増加とそれに伴う癌の有病率の増加が、今後数年間、この分野を牽引していくと予想されます。また、先進国におけるがんに対する意識の向上やがん検査キットの普及を目的とした政府・団体による取り組みも、今後数年間の市場成長を後押しすると予想されます。

ここ数年、世界の家庭用DNA検査キット市場において、製薬会社間のコラボレーションやパートナーシップ、戦略的提携が活発化しています。例えば、Myriad Genetics社は、Illumina社が国際市場向けにmyChoice診断テストのキットベース版を作成するために、Illumina社との戦略的提携を発表しました。両社の合意は、コンパニオン診断と次世代シーケンサーを組み合わせ、腫瘍サンプルの包括的なゲノムプロファイリングを進め、腫瘍学の転帰を改善するものです。さらに、韓国の大手携帯電話会社SKテレコムは、人工知能を活用したゲノム解析ソリューションの開発でマクロゲンと協業しました。SKテレコムは、マクロゲンが保有するゲノムデータや医療情報を人工知能で解析・集計・管理するシステムを構築する予定です。世界の家庭用DNA検査キット市場は、2028年までに100億米ドル規模を超えると予想されています。

市場の競合状況

家庭用DNA検査キット市場の初期のプレイヤーの1つは23andMeで、顧客が自分の遺伝的素因について有用な情報を得るために唾液の小さなチューブを郵送するだけで済む家庭用DNA検査キットで知られています。また、DNA配列解析、AI、全身スキャン、ウェアラブルを組み合わせ、モバイルヘルスモニタリングとスマートフォンアプリによる医療への即時アクセスを可能にしたサブスクリプション型サービスであるForwardのような企業も、イノベーションを推進する民間企業として注目されています。その他、Everlywell、Ancestry、MapmyGenome、EasyDNA、MedGenome、DNAwise、DNA labs、Genes2meなどが市場の主要なプレイヤーとして挙げられます。

COVID-19の市場への影響

COVID-19のパンデミックは、過去2年間において家庭用DNA検査キット市場を押し上げました。世界的にCOVID-19の症例が増加していることから、複数の製薬会社が費用対効果が高く、簡単に入手できるウイルス診断用キットの開発を推進しています。2020年11月にリリースされたルシラCOVID-19オールインワン検査キットは、家庭で自己検査ができ、迅速な結果が得られる最初のCOVID-19用検査キットです。さらに最近では、2021年10月にFDAが、市販の抗原検査であるAcon Laboratories Flowflex COVID-19ホームテストにEUAを発行しました。

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