産業用オートメーションにおける仮想化、エンドユーザーの74%が既存ハードPLCベンダーを将来のソフトPLC/仮想化制御セットアップとして検討見込み

ソフトPLCの定義

ソフトPLCまたはソフトウェアPLCとは、制御ロジックソフトウェアの一部または全部がPLCハードウェアから切り離されており、ソフトウェアが制御ロジックワークロードの実行を異なるハードウェア上で行うことを可能にする制御システムのことです。また仮想化PLCとは、仮想化されたハイパーバイザーの上のコンピューティング環境に配置されたソフトPLCのことです。

将来的にオペレーターが生産ラインやビルなどの空間を自動化する方法を変える可能性があり、仮想化されたワークロード、つまり、ソフトウェアベースのPLCの持つ可能性は現実的といえます。産業オートメーションベンダーは、自社の中核となる制御システムビジネスを守るために、ソフトPLCなどの新しい技術に注目しておく必要があります。産業界におけるソフトウェアベースのPLCの台頭は、写真におけるデジタルカメラの台頭のように、既存企業にとっての代替となる新しい技術の台頭といえます。仮想PLCとソフトPLCの将来性が、潜在的なエンドユーザーにすでに明確であることが示唆されました。しかし、興味深いことに、産業界のエンドユーザーは、ソフトPLCの購入を、新規参入者ではなく、既存のハードPLCベンダーから購入することを希望しているという事実が報告されています。ソフトPLCベンダーは革新的な存在でありながら、同市場の産業構造を極端に覆す可能性は低くなったと考えられます。

企業は産業用オートメーションのセットアップをデジタル化している

企業の約75%がデジタル化戦略を持っていることから、既存の産業用オートメーションシステムの近代化は、ほとんどのメーカーが注目していることがわかります。オートメーション予算の3分の1がデジタル化活動に充てられているという報告もあります。これには、異種資産の接続、データの可視化と分析、ニーズに対応した制御システムのアップグレード、機器やソフトウェアの近代化などのテーマが含まれています。

慣れ親しんだベンダーへのこだわり

産業界のエンドユーザーの74%が、既存のハードPLCのベンダーを将来のソフトPLC/仮想化制御のセットアップとして検討する可能性が高いと予測されます。これは、Siemens、Rockwell Automation、ABBといった現在のハードPLCのマーケットリーダーが最も多くのベンダーとして挙げられることを意味しています。

また、Honeywell(89%)、横河電機(85%)、Siemens(85%)などの既存のベンダーが、今後ソフトPLCの開発を検討する可能性が高いと報告されています。

既存のベンダーが好まれる理由

仮想化されたコントローラやソフトウェアベースのコントローラを購入する際の明確な第一の判断基準は、極めて高いアップタイムと低い平均故障間隔が保証されていることです。これは、コントローラのダウンタイムが工場全体の生産停止につながる可能性があり、数分で数百万ドルの損失コストが発生する可能性があるため、非常に重要なことです。また、サイバーセキュリティ対策や、社内のチームがシステムを保守できるかどうかも重要な判断基準となります。既存のベンダーは、ほとんどの場合、既存のオートメーションシステムでこれらの基準を満たしていることをすでに証明されており、そのソリューションは、市場の新規参入プレーヤーと比較して、より高い信頼性を持つと認識されているからです。

今後の展望

最新の調査によると、メーカーは産業用オートメーションシステムのデジタル化と仮想化を積極的に進めており、制御ロジックだけでなく、ストレージ、ビジュアライゼーション、SCADAなど、その他のワークロードも急速に仮想化されています。また、産業用オートメーションベンダーは、仮想化されたPLCやソフトPLCを導入する際に、マージンの希薄化を恐れる必要はないと考えています。実際、一部のメーカーでは、ソフトPLCはハードPLCと比較して、システムメンテナンスのコスト削減や信頼性の向上が期待できるため、より多くの費用を支払うことも厭わないとしています。その一方で、近い将来より多くの支持を得ることになるであろうマーケットイノベーター(Beckhoff社、Codesys社、Logi.cals社など)の存在も忘れてはなりません。

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