手指消毒剤市場、2028年に33億米ドル規模到達見込み
市場の概要
世界の手指消毒剤市場は、2022年に53億米ドルの規模に達しました。同市場は2028年に33億米ドル規模に達すると予想されています。
手指消毒剤は、病気を引き起こす病原体を皮膚から取り除くために手に塗る消毒液です。一般的に、泡状、ゲル状、液状のものがあり、アルコール、水、エモリエント剤、ポリアクリル酸塩、人工および天然着色料、香料で構成されています。手指消毒剤に使用されるアルコールには、エタノールやイソプロパノールがあり、タンパク質を瞬時に変性させ、特定の細菌やウイルスの脂質ベースのコーティングを破壊する働きがあります。水は、成分のキャリアとして働き、ハイドロゲルと結合します。エモリエント成分やその他の成分は、アルコールによる乾燥から肌を守り、ポリアクリレートの酸性作用を中和し、香りや見た目を良くするために少量ずつ添加されています。現在では、グリセリン、増粘剤、塩化ベンザルコニウム(BAC)などの殺菌剤を使用して製造されたアルコールフリーのバリエーションも販売されています。
また、手指消毒剤には、手の水分を引き寄せて閉じ込める保湿剤が含まれており、繰り返し使用しても皮膚から天然の油分を取り除くことはありません。従来から使用されている石鹸と比較すると、より効果的で肌に優しい除菌剤です。コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行に伴い、学校、病院、集合住宅、商業施設などの公共空間での手指消毒剤の需要が大幅に増加しています。しかし、ロックダウン規制が緩和され、世界的に感染者数が全体的に減少していることから、手指消毒剤の需要や売上は大きく減少しています。
市場の動向
コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な広がり
COVID-19の突然の大流行により、世界保健機関(WHO)は、コロナウイルスの感染拡大を最小限に抑え、自衛のために手指消毒剤の使用を推奨しています。また、コロナウイルスによる死者数の増加に伴い、感染予防のために手指の衛生管理が重要視されるようになり、消費者の反応も高まっています。手指消毒剤には高濃度のアルコールが含まれており、ウイルスのエンベロープコーティングを除去することで、ウイルスを非感染状態にし、使用者を継続的に保護することができます。
大衆の健康志向の高まり
手指消毒剤の需要の増加は、大衆の間で様々な胃腸、呼吸器、皮膚の感染症が蔓延していることが、さらに後押ししています。アルコールベースの手指消毒剤は、皮膚や手のひらに存在する有害な細菌やウイルスの感染を最小限に抑えることができるため、胃腸炎、下痢、吐き気、嘔吐などの事例が減少します。また、従来から使用されている手洗いや石鹸と比較して、手指の乾燥や刺激を最小限に抑えることができる成分を含んでいます。メーカー各社は、アレルギーを起こさず、無害な天然成分やオーガニック成分を配合した除菌剤の開発に取り組んでいます。
新たなバリエーションとディスペンサーの登場
また、花や果物の香りを配合した革新的な手指消毒剤の上市も市場を牽引しています。製品メーカーは、小袋やミニボトル入りの使いやすく携帯に便利なフォームタイプやジェルタイプの除菌剤を開発しています。ジェルタイプの手指消毒剤は、薄く水っぽい粘度で、皮膚に素早く浸透し、病原菌を中和します。同様に、泡タイプの手指消毒剤も使い勝手がよく、こすり落とす必要がありません。メーカーは、ストロベリー、グリーンアップル、ライチ、オレンジなどの斬新なフレーバーの製品を、ハンズフリーの自動センサー式や足で操作する斬新なディスペンサーで発売しています。