高リン血症治療薬市場、2028年に61億米ドル規模到達見込み

市場の概要

世界の高リン血症治療薬市場は、2022年に38億米ドルの規模に達しました。2023年から2028年にかけて、市場は8.1%のCAGRで成長し、2028年には61億米ドル規模に達すると予想されています。末期腎臓病（ESKD）の有病率の上昇、慢性疾患を発症しやすい高齢者人口の大幅な増加、健康意識の高まりによる疾患の早期診断の傾向の高まりが、市場を牽引する重要な要因となっています。

高リン血症は、リン酸の摂取量の増加、リン酸の細胞外への移動、リン酸の排泄量の減少の結果、血液中のリン酸濃度が上昇することを特徴とします。高リン酸血症は、慢性腎臓病、糖尿病性ケトアシドーシス、コントロールされていない糖尿病、副甲状腺ホルモン値の低下などを患っている方に多くみられます。高リン血症の治療薬は、リン酸塩結合剤を含む傾向があり、血中のリン酸塩の濃度をコントロールするのに役立ちます。さらに、高リン血症の治療薬は、消化管からのリンの吸収を抑える効果があります。高リン血症治療薬は、リン酸アニオンを炭酸塩、酢酸塩、オキシ水酸化物、クエン酸塩などの活性カチオンと交換し、非吸収性の化合物を形成して排泄させる効果があります。

市場の動向

世界的に様々な慢性疾患、特に末期腎臓病（ESKD）の有病率が上昇していることが、市場の成長を牽引する重要な要因となっています。これは、これらの病気を発症しやすい高齢者人口が大幅に増加したことに起因しています。これに伴い、新薬の承認に伴う製品上市の増加も市場に好影響をもたらしています。また、多くの臨床試験で強力なパイプライン治療薬が登場したことも、市場に有利な成長機会を生み出しています。しかし、高リン血症治療薬の副作用の増加、数か国の治療薬管理機関による規制の厳格化、製造コストの高さなどが、市場の成長を抑制しています。一方、治療薬の製造工程における広範な研究開発（R&D）活動は、市場に明るい展望をもたらしています。このほか、地域的なプレゼンスを拡大するために、主力企業による共同研究、パートナーシップ、戦略的M&A（合併・買収）が大幅に増加していることも、市場に拍車をかけています。さらに、従来のリン酸塩結合剤から非リン酸塩結合剤に嗜好がシフトしていることも、市場の活性化につながっています。さらに、医療費の増加や医療インフラ設備の継続的な技術向上が、市場を後押ししています。その他、急速な都市化、製品のプレミアム化、病気の早期診断の傾向の高まり、バイオテクノロジー産業の著しい成長、可処分所得水準の上昇なども、市場の成長要因として挙げられます。