超高分子量ポリエチレン繊維の市場規模、2020年から2027年にCAGR8.6%で成長見込み

超高分子量ポリエチレン繊維の市場規模は、2019年には7億6,111万米ドルとなり、2020年から2027年にかけて年平均成長率(CAGR)8.6%で成長すると予測されています。超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維は、高い耐薬品性、優れた耐衝撃性、耐摩耗性、最高の強度重量比、優れた柔軟性と快適性、耐摩耗性、拳銃の脅威に対する保護など、いくつかの優れた特性を持つため、軍事・防衛用途で受け入れが拡大しています。UHMWPE繊維は、弾道ヘルメット、フラグメントニット、防弾チョッキ、弾道シールド、弾道プレートインサート、防爆ブランケットなどの保護装甲用途に広く使用されています。

さらに、兵士保護システム(Soldier Protection System-Torso)などの政府の軍事プログラムや世界各国の政府が、軍や法執行機関の職員に優れた保護具を提供するための取り組みを行っており、それによってUHMWPE繊維の使用が促進されています。このような取り組みは、法執行機関や軍人の効率性や操作性を向上させるとともに、防護服の軽量化を目的としています。

米国のSPS-TEP(Extremity Protection)プログラムでは、軍隊に全身を覆う装甲を提供しており、これが超高分子量ポリエチレン繊維の防具用途への需要を促進しています。また、米国陸軍は、陸軍研究所において、ヘルメットやボディアーマープレートなどの高度な防護装備に関する技術研究を行っています。このような研究活動により、UHMWPE繊維の優れた特性が高い需要を生み出しています。

また、業界参入企業は、優れた製品を開発するために注力し、研究開発イニシアチブに投資することで、UHMWPE繊維市場を形成する上で積極的な役割を果たしています。例えば、2017年5月、Koninklijke DSM N.V.は、ヘルメット用途に特化したバリスティック素材の研究開発能力を拡大し、軽量で高性能なヘルメットのデザインや、ダイニーマ素材をベースにした技術を生み出すことを発表しました。このように、軍事・防衛用途における超高分子量ポリエチレン繊維の需要は、前述のすべての要因が相まって高まっています。 しかし、超高分子量ポリエチレン繊維の原材料価格の変動は、今後数年間の市場成長の妨げになると予想されます。また、最近、世界各地で発生したCOVID-19がUHMPWE繊維の需要にマイナスの影響を与えています。工業生産の停滞や供給・輸送の制限が製品需要に影響を与えています。

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