PEG化タンパク質の市場規模、2030年に30億6000万米ドル到達予測

PEG化タンパク質の市場規模は、2022年からCAGR11.71%で成長し、2030年には30億6000万米ドルに達すると予測されています。PEG化は、治療薬、薬剤、ベシクルなどの分子にポリエチレングリコールポリマー鎖を共有および非共有で結合させるプロセスです。また、PEG化化合物には、タンパク質分解防止効果、半減期の延長、低毒性、低免疫原性など、業界拡大に寄与する特定の付加的な利点もあります。

一方、PEG化プロセスのコスト上昇と一部の医薬品の特許切れにより、業界の拡大がある程度抑制されると予想されます。しかし、非タンパク質ベースの薬剤よりもタンパク質ベースの薬剤を好む傾向が強まっており、PEG化によってタンパク質の安定性と循環半減期が改善されるため、市場の成長が促進されるものと思われます。癌、腎臓病、関節リウマチのような慢性疾患の発生率が上昇していることが、同市場拡大の主な要因となっています。IARC(国際がん研究機関)は、2020年の世界におけるがん死亡者数は1030万人、新たながん患者数は1930万人と推定しています。

さらに、年間2950万人の新規発症のうち、2040年までに1640万人ががんに関連した原因で死亡すると予測されています。また、国連合同エイズ計画(UNAIDS)のファクトシート「Global HIV and AIDS Statistics 2021」によると、2020年にHIV陽性と診断された人は世界で3770万人に上ります。その結果、慢性疾病および感染症の負担増加とともに、医薬品を製造の需要が高まることが予想されます。このことは、研究を促進することになり、市場にプラスの影響を与えるものと思われます。

2021年6月に発表された「PEGylated nanoparticle albumin-bound steroidal ginsenoside derivatives alleviate SARS-CoV-2-mediated hyper-inflammatory responses」と題する研究によると、SARS-CoV-2 ICU患者で、PEGylated Nano Particle Albumin-Bound (PNAB)-steroidal GinsenosideはヒストンH4とNETosis関連因子の血漿レベルを下げることに成功し、SREBP2媒介全身炎症を軽減させることができるといいます。PNAB-ステロイドジンセノサイド薬は、重症のSARS-CoV-2患者によく見られる凝固とサイトカインストームの症状を治療するのに役立つと思われます。COVID-19パンデミックでは、PEG化技術を使用して多くの研究活動が行われており、市場に好影響を及ぼしています。

さらに、製薬会社やバイオテクノロジー企業による研究開発プロジェクトへの投資の増加も、市場の拡大を後押ししています。例えば、2022年3月、抗体特性評価やタンパク質精製プロジェクトを強化・迅速化するために設立されたプロテインサイエンス部門のFlow Eighteen38の親会社であるCRO FairJourneyBiologics S.Aは、部門のタンパク質生産と物理・生物特性評価能力およびサービスに対して558万米ドルの投資を発表しています。このような投資は、市場全体の成長を補完すると考えられます。また、過去数年間、研究開発プロジェクトを支援するために主要プレイヤーによる戦略的パートナーシップが形成されており、業界再編の傾向が見受けられます。

本記事に関するお問い合わせ先:株式会社グローバルインフォメーション
お問い合わせフォーム:www.gii.co.jp/form/inquiry
お電話:044-952-0102
受付時間 9:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]