N95マスクの市場規模、2021年から2028年に高いCAGR達成予測

市場概要

N95マスクの市場規模は、2021年から2028年に高いCAGRを達成すると予測されています。N95マスクは、健康被害をもたらす、エアロゾル、蒸気、ガスなどの吸入を防ぐ個人用保護具です。また、コロナウイルス、SARS、H1N1など、空気中に浮遊する微小な感染物質を吸い込むことを防ぐことが出来ます。欧州の規格では、ろ過率が95%以上、内部への漏れが8%以下であることが求められています。N95マスクは、コロナウイルス対策として最も一般的な売れ筋のマスクであり、建設、農業、医療、金属加工および鉱業など、多方面で使用され高い需要を集めています。

N95マスク市場の成長は、コロナウイルスの世界的流行、呼吸器系疾患の増加、安全性に対する人々の不安が原動力となっています。

コロナウイルスの世界的流行

N95マスク市場の需要は、コロナウイルス感染者の増加に伴って高まっています。2021年3月時点で、全世界で約1億3200万人がコロナウイルスに感染しました。そのため、WHOは産業界や政府に対し、マスクの生産量を40%増加させ、この需要増に対応するよう要請しています。

初期の段階では、医師、看護師、現場作業員、一般市民のPPE(個人用防護服)へのアクセスが制限されていたため、マスクが不足していました。WHOは約50万セットの個人用保護具を47カ国に発送しましたが、モデリングに基づき、毎月8,900万枚の医療用マスクの需要を見積もっています。

また、3M社が、2021年4月までに1億6650万個の呼吸器を輸入している事実からもわかるように、コロナウイルスはN95マスク市場がグローバルに成長する機会を生み出しています。

さらに、N95マスクに対する政府の承認も市場を牽引しています。例えば、米国労働安全衛生研究所はNIOSH-42C FR84マスクを認定しており、欧州連合はFFP2マスクを認定しています。また、KN95マスクは中国国家医療製品管理局(NMPA)の基準を満たしています。

低品質な偽物マスクの存在

N95マスク市場は、低品質な偽物マスクの影響を受けています。同市場では激しい競争が繰り広げられており、N95マスクの偽物を低価格で販売する業者も存在します。米国では、マサチューセッツ州の病院で、3万枚のN95マスクの偽物が発見されたと報告されています。3M社によると、パンデミック以降、1,000万枚以上のN95マスクの偽物が押収されており、その真贋について1万500件の問い合わせがありました。このような事例は、N95マスク市場の成長を抑制する原因となっています。さらに、安価なマスクの入手が容易なことと、N95マスクの不足も市場成長に影響を与えます。

COVID-19のN95マスク市場への影響

COVID-19パンデミックにより、N95マスク市場全体のステークホルダーは急激に成長し、その生産量は100%以上増加しました。鼻や口への飛沫を避けるための個人用保護具の必要性は、この分野に市場機会と雇用をもたらしました。例えば、Honeywell社は、米国保健社会福祉省にマスクを納入するために、自社工場でのN95マスクの製造を拡大し、500人以上の新規雇用を創出しました。また、同社は、緊急時の対応者や現場の医療従事者、政府機関を支援するため、インドのFulgaonに新たにN95マスクの製造ラインを増設しました。

また、外国貿易総局(DGFT)がN-95/FFP2マスクの月間輸出枠500万個の制限を撤回するなど、政府による継続的な支援も市場の活性化につながっています。他にもEtihad航空は、今後3ヶ月間で130万枚のマスクを製造し、客室乗務員やその他のスタッフ、医療関係者に配布すると発表しています。

一方、パンデミックの影響で、サージカルマスクやN95マスクの価格が大幅に上昇し、世界的にマスクが不足していることから、その在庫が高値で取引されています。日量2,000万枚以上のマスクを生産している最大の生産国である中国も、世界的な需要と供給不足に悩まされています。また、ドイツ、韓国、タイなどの多くの国では、自国の需要を満たすためにマスクの海外への輸出を禁止しています。

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