感染症体外診断市場、2029年に329億8,000万米ドル規模到達見込み
市場の概要
感染症体外診断の世界市場は、2022年に354億1,000万米ドルの規模に達しました。2023年から2029年にかけて、市場は-1.38%のCAGRでわずかに縮小し、2029年には329億8,000万米ドル規模に達すると予想されています。感染症にかかりやすい高齢者人口の増加やパンデミックによるPOC検査の需要急増により、市場は活況を呈しています。
感染症体外診断(IVD)市場とは、血液、尿、その他の体液などの生体試料中の感染症を検出・診断するための診断テストやデバイスの使用を指します。これらの検査は、体外の実験室で行われます。感染症用IVD市場には、イムノアッセイ、分子診断、微生物培養検査など、さまざまな検査が含まれています。これらの検査は、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などの感染因子の同定を助け、感染症の管理・治療に役立ちます。
市場の動向
感染症体外診断の世界市場の主な成長要因としては、感染症にかかりやすい高齢者の増加、COVID-19パンデミックによるポイントオブケア(PoC)検査への高い需要、早期発見の重要性への認識の高まり、感染症の発生率の増加などが挙げられます。パンデミックは、SARS-CoV-2を検査するための革新的な製品が上市され、2020年と2021年に業界が大幅に成長する結果となり、市場に大きな変化をもたらしました。これらの製品の導入が進んだことが、市場の成長に重要な役割を果たしました。そのため、PCR装置の設置が急速に進んだ結果、2022年にはSARS-CoV-2検査のニーズが低下し、インフルエンザなど他の感染症にPCR検査を活用する機会が生まれています。高齢者人口の増加は、高齢化が心血管疾患や神経疾患などの疾患発症の主要なリスク要因であることから、本市場の成長要因の一つとなることが予想されています。しかし、検査にかかるコストが高いことが、予測期間中の感染症体外診断の世界市場の成長を阻害することが予想されています。
感染症体外診断の世界市場に対するCOVID-19の影響
COVID-19は、感染症体外診断市場に好影響を及ぼしました。パンデミック時の症例検出の必要性が高まったことで、体外診断用医薬品の利用率が高まりました。また、規制当局も感染症の蔓延を抑えるために検査を義務化し、体外診断用医薬品の需要をさらに押し上げました。しかし、COVID-19の患者数の減少に伴い、診断薬の需要が減少する可能性があります。それでも、感染症体外診断市場は、新たな疾患の出現により、今後も成長を続けると予想されています。また、健康志向が高まり、定期的に健康状態を把握する人が増えていることも、体外診断用医薬品の需要増に寄与しています。