資産担保型融資市場、2031年に1兆7,213億8,000万米ドル規模到達見込み

市場の概要

世界の資産担保型融資市場は、2021年に5,615億米ドルの規模に達しました。2022年から2031年にかけて、市場は12.2%のCAGRで成長し、2031年には1兆7,213億8,000万米ドル規模に達すると予想されています。

資産を担保にした融資は、アセットベースドレンディングと呼ばれています。つまり、アセットベースの融資では、借り手の資産が、貸し手が承認した融資の担保として使用されます。売掛金、在庫品、有価証券、有形固定資産などは、融資の担保となる資産の一例です。

資産担保型融資は、資産によって融資が担保されるため、無担保融資(資産を担保にしない融資)よりもリスクが低く、その結果、支払う金利が低くなります。また、資産の流動性が高ければ高いほど、融資のリスクは低くなると考えられ、要求される金利も低くなります。さらに、アセットベースのローンは、無担保のローンやクレジットラインよりも簡単かつ迅速に入手することができます。したがって、これらの要因は、資産担保型融資市場の成長に大きく寄与しています。しかし、従来の銀行融資に比べて金利が高く、貸し倒れによって担保を失うリスクがあることが、市場の成長を阻害する大きな要因となっています。一方、資産担保型融資市場では、先進的な技術の利用が進んでおり、今後数年間に渡って市場を押し上げると予想されます。さらに、デジタルバンキングへの依存度の高まりは、今後数年間の市場成長に有利な機会を提供すると期待されています。

市場への主な影響要因

流動性向上への貢献

資産担保型融資がビジネスに提供する最も大きな利点は、流動性の向上です。適切に利用すれば、利用者は安定した財務と予測可能なキャッシュフローを手に入れることができます。急拡大している企業、キャッシュフローが制約されている企業、季節的な収入に頼っている企業などは、このメリットを利用して経営を安定させることができます。さらに、資産担保型融資は、多くの企業、特に投資不適格企業や通常キャッシュフロー融資を受けることができない移行期の組織にとって、最適な資金源となり得ます。さらに、市場の主力企業による魅力的な新製品の投入が、市場の成長をさらに後押ししています。例えば、2022年4月、英国の中堅金融機関メトロバンクは、資産担保型融資(ABL)の新商品を発売しました。同行は、在庫、工場、債務者、機械、商業用不動産などの幅広い資産に対して、244万4,500米ドル(200万ポンド)以上の信用を提供しました。こうした要因が市場の成長を後押ししています。

アセットベースドレンディングの資格基準がより簡単に

銀行ローンやビジネスラインは、アセットベースのファイナンス・プログラムに比べて審査の難易度が高くなっています。事業者は、短期間の収益実績と合理的な財務管理が必要です。それに加えて、組織には借り入れ可能な資産がある必要があります。売掛金は、最も簡単に活用できる資産です。売掛金はすぐに現金に換えることができるため、信頼できる取引先に対する請求書は優れた担保となります。多くの金融機関は、70日間の支払い期間を持つ請求書への資金提供を好んでいます。設備や在庫は、企業がABLプログラムの資格を得るために使用することができる追加の担保となります。このように、資産担保型融資の審査基準がより簡単になったことが、市場の成長に拍車をかけています。

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